加藤陽子「日本国憲法では“主権は国民に存する”とストレートに書かれていない」

日本国憲法
第一章 天皇
第一条
 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。


加藤陽子
『 戦争の日本近現代史
 征韓論から太平洋戦争まで 』
講談社現代新書 二〇〇二年三月二〇日第一刷
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 以下,加藤陽子教授レジュメのなかの読み仮名などのピンク色部分は,ノートするうえでの私的な加筆部分です。

 日本国憲法では「主権は国民に存する」と書かれていない。 イタリア憲法では「主権は国民にある」と書かれていること。
 加藤陽子教授 レジュメ
 (3)日本国憲法第1条の構造 ① 主権は国民にある、とストレートに書かれていない、天皇と国民が抱き合わせ。

 加藤陽子教授のイントロダクションは,現状に対する大きな危機感。
 「改元の政治利用」
 「90日間以上開催されていない予算委員会」

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立憲デモクラシー連続講座Ⅳ 第1回
2019年5月31日

加藤 陽子 教授(東京大学文学部 日本近現代史)
講演
「 近代の天皇(制)と二つの憲法を考える 」

― 1 ―

1、国民と天皇

(0)憲法学者、「ご学友」、宮内庁の自立化希求


① 樋口陽一「はしがき ― 奥平康弘さんとの想像上の会話三つ」、樋口陽一・中島徹・長谷部恭男 編『憲法の尊厳』(日本評論社、2017年) 3頁~「天皇という存在を『ロボット化』しようとする政治の誘惑を封じこめること」、「政治からの宮内庁の相対的自立を考える発想が必要」

② 明石元紹(もとなが)・小田部雄次『君は天皇をどうしたいのかね?』(敬文社、2017年)117頁~「皇室を取り巻く宮内庁などの組織が政府の傘下にいて、人事をはじめとした活動の拘束をすべて時の総理大臣が決定できる、推し量れるという制度で大丈夫なのだろうか」「まったく異なるポジションをつくる必要がある」

③ 「令和」改元の周辺

(1)歴史的なものの見方、歴史学の学問的特性とは

① 「学問は歴史に極まる」~ 萩生徂徠〔1666(寛文6)― 1728(享保13)〕「答問書」、尾藤正英責任編集『荻生徂徠』(中央公論社、1983年)所収

② 「闇に埋没した作者の問いを発掘する」~ コリングウッド R・G・Collingwood 〔1889―1943〕、玉井治 訳 『思索への旅 自伝』(未来社、1981年)
 ◎ 「作者の問い」 が 「闇に埋没」 した例 → 1889(明治22)年7月、安徳天皇陵治定 「是より先、(   )議起るに際し、伯爵伊藤博文以為らく(おもえらく)、万世一系の皇統を奉戴する帝国に対して、歴代山稜の所在未だ明らかならざるものがあるが如きは外交上信を列国に失ふの甚だしきもの」 (『明治天皇紀』明治22年6月3日条)

(2)天皇が攘夷(生前退位)する国で

① 自然的身体と政治的身体 近代で初めて不一致

 ◎ 「皇位は一日も空しくすべからず」(『帝室制度史』で「日本書紀」仁徳紀を引いてきた意味)
 明治皇室典範第10条 「天皇崩御スルトキハ 皇嗣 即チ 践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク (こうし すなわち せんそし そそうの じんぎを うく)」、井上毅 「英国の有名なる古諺(こげん)に、国王不死と謂へる、即ち国王は一個人に非ずして国家の代表なるが故に、前王去るときは後王 即時 位を継ぎ、寸間の空位あるを容れず」(1887(明治22)年2月)

② 2019(令和元)年5月1日「即位後朝見の儀」の「おことば」

 ◎ 「おことば」 ~ (第四段落)「憲法にのっとり、日本国及び国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い」 参照、日本国憲法第1条 「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」。

③ 2016(平成28)年8月8日の「おことば」 ~ 「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」 → 象徴的行為の内容を明言

(3)日本国憲法第1条の構造

① 主権は国民にある、とストレートに書かれていない、天皇と国民が抱き合わせ

② 第1条起草過程での日本側と連合国側の攻防 ~ 参照、古関彰一 『新憲法の誕生』(中公文庫、1995年)

◎ 3月6日憲法改正要綱案 「天皇ハ日本国民至高の総意ニ基キ日本国及其ノ国民統合ノ象徴タルベキコト」

③ 日本国憲法第4条1項との関係 ~ 「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」 ~ 2016年8月8日の「おことば」、政治学(原武史、御厨貴)、憲法学(駒村圭吾)の受けとめ方

― 2 ―

2、美濃部達吉を今、ふりかえる意味

(1) 高見勝利解説、美濃部達吉 『 憲法講話 』(岩波文庫、2018年)刊行の画期性


① 1912年の初版本に改定を加えた1918年版、1911年8月、文部省主催の中学校教員向けの10回の夏期講習会

② 美濃部の意図 ~ 「健全なる立憲思想」の普及

③ 解説 ~ 「明治憲法のもとでいかなる憲法教育を次世代に施すべきかをめぐる争い」(566頁)

(2)軍部に対する、同時代にあっての最大の批判者

① 美濃部達吉と宮沢俊義の関係 参照、松沢広陽・植手通有 編 『丸山眞男回顧談』上巻(岩波書店、2006年)

② 議会制度の重要性 ~ 「議会制度は実に 明治天皇の我等国民に遺させたもうた大業」

③ 議会制度の欠陥はなぜ生ずるのか ~ 立法の主たる内容を為すものは経済問題、精緻な技術的な知識が必要 ← 美濃部「議会雑感」『日本評論』(1940年4月)、高見勝利編『美濃部達吉著作集』(慈学者、2007年)101頁

④ 議会の役割 ~ 政治上から見た議会の職能、内閣の施策に対する批判者、問責者

⑤ 現代の問題 ~ 防衛関係予算、安全保障政策に関して、国民は批判者たりえているか、特定秘密保護、公文書管理

⑥ 直接的には、1930年のロンドン軍縮条約を締結した濱口雄幸政党内閣、それを支持した天皇・宮中への理論的基盤を提供、1934年 「陸軍省発表の国防論を読む」(『中央公論』同年11月)、1935年2月天皇機関説事件

(3) 統帥権問題の帰結

① 法律だから改廃できるとの安心感、部内措置とされることへの警戒不足、国務大臣の輔弼責任外領域(宮中と軍部)公式令、軍令、皇室令の3体制

② 陸軍は対外的な軍事行動で天皇の統帥権を干犯し、海軍は部内規定の改変で同じく統帥権を干犯する

 現在、野党議員や新聞が公的に知りうる防衛・安全保障関連の情報の量/戦前期の政軍関係への考察必須の理由

③ 1930年7月2日、海軍軍事参議官会議 「海軍兵力に関する事項は従来の慣行に依り之を処理すべく、此の場合に於ては海軍大臣、海軍軍令部長に意見一致しあるべきものとす」
← 省部事務互渉規定第七項は 「兵力ノ伸縮ニ関シ又経費ニ渉ルモノハ、省部互ニ意見ヲ問議ス

④ 1933年1月23日 「極秘 兵力量の決定に就て」 参謀総長、海軍軍令部長、陸軍大臣、海軍大臣の署名捺印、参照、伊藤隆 編 『続・現代史資料 5 海軍』所収。 「兵力量は国防用兵上絶対必要の要素なるを以て、統帥の幕僚長たる参謀総長、軍令部長之を立案し、其決定は此、帷幄(いあく)機関を通じて行われるものなり」

⑤ 1933年9月25日、これまでの海軍軍令部条例、省部事務互渉規定に代わり新たな軍令部令、海軍省軍令部業務互渉規定制定、軍令部長の権限を参謀総長の例にならって拡張し、軍令部長の名称も改めて、軍令部総長とする

⑥ 新互渉規定の第三条は 「兵力量ノ規定ニ関シテハ軍令部総長之ヲ起案シ海軍大臣ニ商議ノ上御裁定又ハ御内裁ヲ仰ク」

⑦ 1933年9月25日、軍令部条例の改正と業務互渉規定について拝謁、上奏、裁可を請うた大角岑生(おおすみみねお)海相に対し、天皇は二点下問 → (ⅰ)今回の改正で軍令部総長が 「用兵ノ事ヲ伝達スルコト」 となれば、海軍を海外派遣する場合の上奏允裁(いんさい)の取扱はどうなるか、( ⅱ )今回の改正で海軍大臣の職権に重大な変更が加えられるが、この点、首相に同意を求める必要はないか。 ← 不誠実な回答。 伏見宮軍令部総長、閑院宮参謀総長の出現

3、おわりに

参照、歴史学研究会、加藤陽子 責任編集 『天皇はいかに受け継がれたか』(績文堂、2019年)、拙著 『戦争まで』(朝日出版社、2016年)、拙著 『増補版 昭和天皇と戦争の世紀』(講談社、2018年)

◎ 神なき国の近代化(三谷太一郎)~ 人心帰一の機軸としての宗教がなかった日本、「疑似宗教の主宰者の立場としての天皇」 は変化していないのでは(丸山眞男)。 1888年6月18日伊藤博文 ~ 機軸とすべきは皇室(天皇+皇族)

◎ その皇族と天皇の関係は「不協和音」→ 1921年臣籍降下問題、摂政就任問題、西園寺公望は皇族らを「町人根性」

◎ 西周(にしあまね)と本来の軍人勅諭(1882〔明治15〕年1月4日)、井上毅と本来の教育勅語(1800〔明治23〕年10月30日)

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あたらしい都営バス,フル・フラット・バスがメッチャカワイイ

 5月31日(金) 立憲デモクラシーの連続講座のあと早稲田大学から高田馬場駅まで都営バスに乗った。
 最新のフル・フラット・バス。 乗降しやすいだけじゃなく,握り棒や吊り輪,車内の色も,とても素敵だった。 視覚障害の人にも優しいデザインのようだが,いつも感じるのは,いわゆる「社会的弱者」にやさしい もの や こと は,すべての人にとって快適だなということ。

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小沢一郎「憲法を争点にしてダブルを打つ節はある。このままだと野党は全滅 」

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BS朝日 激論!クロスファイア
2019/06/02(日)
いざ選挙!! 小沢一郎氏に問う!
いかに野党をまとめ政権奪取するのか?
田原 総一朗


小沢 一郎

 国民民主党 衆議院議員

林 尚行
 朝日新聞大阪社会部デスク


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トランプ“おもてなし”外交
 国民にとって,国にとって,ためになる外交とは言えない。 “おもてなし”ではなく単なる媚びへつらい。
 日米二国間という困難な交渉で,どっちにしろアメリカの思うとおりにやられる。 農業は金額的には大きくはないが,自動車などその他の分野については相当な痛手を受けるだろう。
 安倍さんもトランプさんも お互いに日米同盟は良いと言わざるを得ないところが弱みだ。

アベノミクス
 安倍さんの「優勝劣敗」「強い者が勝てばいい」という政治の考え方が間違っている。

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国民民主党との合流
 国民民主党との合流は,野党結集の足がかり。

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参議院選挙,衆参同日(?)選挙
( 田原総一朗氏&林尚行氏 「前回選挙では野党の比例区全得票数は自民より多数だった」 )


 野党が弱い状態だと,憲法を争点に,それを大義名分にして,ダブルを打つ節はある。

 1人区で野党が勝利すれば,自民党に替わることができる。
 野党が合併しなくても 「オリーブの木」の結集なら,1日でできる。
 野党が勝てば安倍さんは退陣。
 枝野さんが旗を振れば1日で野党はまとまる。

 複数区については,複数の候補者を立てるのがいい。 候補者を絞ったら,数で負ける。 野党は結集し,選挙の母体を1つにしなくてはならない。
 単なる候補者一本化でなく,野党の実態的な一本化,つまり候補者の母体となる勢力が大きな 1つであることが必要。
 野田・元総理だってそう言ってるが,このままでは「りっけん」だけでなく 野党は全滅する。

 枝野さんが決断しなければ始まらない。 いずれ君子豹変するだろう。 「腕」よりも真心で口説きたい。

小池百合子
 あのとき小池さんが大きな志を持っていたなら,小池百合子首相が誕生していただろう。

◇ お断り
 これは,文字起こしではありません。 私的な備忘録です。 by レイニャン


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