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zoom RSS 荻野文隆「日本の20年のデフレ…」 F・アスリノ来日記念講演(2/ ) at 早稲田

<<   作成日時 : 2018/10/15 13:26   >>

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François Asselineau 荻野文隆
2018/10/10 at 早稲田


【 イントロダクション 】〈2/2〉
「 日本の20年のデフレと EU・ユーロ体制のフランス 」
荻野 文隆 教授(東京学芸大学)
EU,ユーロによって,圏内の国の利害の対立が非常に鮮明になってきている。
日本は,100兆円を財政出動で数年にわたって出していけたら,デフレは脱却できる。

❑ EUの機能不全とユーロ圏内の格差。


露呈するユーロの構造的な設計の問題。

ユーロ圏の貿易収支 1990―2011
東西統一による負担で貿易収支が赤字だったドイツは,ユーロが導入されたことにより,独り勝ちになる。

ユーロの通貨基準が,ユーロ圏のなかでの貿易格差を拡大させる。
ユーロは,参加する国の通貨の水準の平均値のところで合わせている。


ドイツ・マルクは強い。 ドイツの産業にとっては,現在の,あるいは当時からのユーロの水準は非常に低い。
つまり,通貨の切り下げをやったのと同じ効果が起きる。

それに対してヨーロッパの南(スペイン,イタリアなど),ギリシャの産業効率にとっては,ユーロの通貨基準は高すぎる。
通過が高すぎるので輸出力がどんどん下がってくる。

ユーロ圏のなかでの貿易格差が大きくなる。

フランスは2000年まではほぼ順調で,ユーロ導入以降少しずつ陰りが出てきて,現在ではマイナスになっている。

ユーロの構造的な設計の問題から,ユーロ圏のなかの国の格差が広がった。

Target 2 – Balance 2001―2018
それぞれの国の中央銀行のあいだでの資金の動き。( 図のy軸 全部を足すとプラス・マイナス,ゼロになる )

ドイツ
120兆円 9000億ユーロ(ドイツ国家予算の約2倍)
スペイン
マイナス49兆円 −3800億ユーロ
イタリア
マイナス58兆円 −4500億ユーロ

2008年リーマン・ショック以降,ユーロの構造的な設計の問題が露呈して,格差が開く。
単純に言えば,スペイン,イタリアの資金がドイツに移動している。
しかし,ドイツにとっては,不良債権が溜まっていることになる。
専門家,政治家のある部分では,ドイツは大変厳しいことになるという危機意識をしっかりと持っているので,ユーロに対する危機意識は非常に強く出ている。

ドイツには,ドイツ国家予算の約2倍である120兆円(9000億ユーロ)が不良債権として入っている。

EU,ユーロによって,圏内の国の利害の対立が非常に鮮明になってきている。

たとえば,日本は100兆円を財政出動で数年にわたって出していけたら,デフレは脱却できる。


❑ BREXIT 英国 国民投票のあとイギリスの失業率は大きく低下。
 
BREXIT 英国:国民投票 2016年6月23日
52% 離脱  48% 残留

単純に言えば,
今の体制で虐げられている人たちが離脱を求めた。
今の体制で美味い汁を吸っている人たちが残留を求めた。

今でも離脱派と残留派との二分は続く。

離脱を求めた地域金と権力の集中していない地域。 北アイルランドの国境近い所,イングランドでも 金と権力の集中していない地域,など。
残留を求めた地域 ― 金と権力が集中している地域。
ロンドン(イングランド)では60%が,ケンブリッジ,オックスフォード(イングランド)では70%が,残留を求めた。 スコットランド,北アイルランド,など。

BREXIT 離脱派 中心メンバー(三銃士)
マイケル・ゴーヴ,ジェイコブ・リースモグ,ボリス・ジョンソン

失業率:2007―2017年2月
イタリア 11.5%
フランス 10%
E U     8%
イギリス  4.6%
ドイツ    3.9%

Project Fear 〔恐怖提案〕「 BREXITでイギリス経済はその翌日から奈落の底に落ちる 」 という残留派のネガティヴ・キャンペーンがおこなわれた。 IMFなどが発表したり,オバマ大統領がイギリスに行き発言した。

BREXITのあと,イギリスは失業率がどんどん低下。
現在は1960年代以降で最も失業率の低い状態にある。


フランスの失業率は 10%で,EU全体の失業率(平均値)8%より高い。
イタリアはさらに厳しい 11.5%。

ドイツは2007年に失業率9.2%。 現在は3.9%。
産業的には活性化を見ている。 そのことが背景にあって,2015〜17年,ドイツ・メルケル政権は,中東,アフリカからの移民を受け止めるとメッセージを出した。

❑ ユーロ離脱がフランスの景気対策としてもっとも有効な対策の1つ。

Project Fear とはまったく逆のことが,実際には起きている。
イギリスの景況指数:2016―2017

BREXITのあと,イギリスの景気は上向き。 期待値が非常に上がってきている。

フランスの失業率:ユーロの有無の差 1997―2016
ジャック・サピールの試算
Jacques Sapir ジャック・サピール(フランスの経済学者)
『 EU崩壊 秩序ある脱=世界化への道 』
フランスの失業者 約450万人。
ユーロ離脱をすれば,フランスは2年ぐらいのあいだに200万人の失業者を減らすことができる。
景気対策として,もっとも有効な対策の1つが,ユーロ離脱。


❑ 多様なヨーロッパをEUという1つのルールで縛る矛盾。

Emmanuel Todd エマニュエル・トッド(フランスの歴史人口学者)
Structures Familiales 『 家族構造 』
多様な家族構造がヨーロッパにある。思想的にも,文化的にも,宗教的にも非常に多様。
EUとして1つのルールで括っていくのは非常に難しい地域である。


ヨーロッパの家族構造 4つに大別
平等に相続(平等主義),一子相続(不平等主義)という軸と,財産を相続した子どもが親と同居する(同居型),別居する(別居型)という軸。 この2つの軸から,4つの組み合わせ。

1) 共同体型 communaulaire
20世紀に共産主義体制を採った地域。 平等主義があって権威主義が強い。 親と同居する,相続は平等。

2) 直系型 souche
ドイツ,スカンジナビア,スコットランド,フランス南西部,スペイン北部(カタロニア〜自分たちで固まろうという傾向が強い〜独立運動)。

3) 平等主義・核家族 necléaire égalitaire
フランスの政治的文化的中心・パリ盆地 〜 別居型(所帯を持った若い家族が自由を謳歌できる)自由に対するあこがれが強い。 平等主義。

フランス革命「自由・平等」は,家族構造の根底的な価値観が,政治的なイデオロギーのなかにリサイクルされた。

4) 絶対核家族 necléaire absolue
イングランド(ブリテン全体ではない)親の面倒を見た子に多く相続させるなど,財産は必ずしも平等には分けない。 フランスでは子供を不平等に扱うことは法律で禁止されていて,許されない。
イギリスでは自由があればいい。 親とは同居しない。

4つの家族構造が,根底的にイデオロギーの対立,ずれを生み出す条件なっている。
EUという1つのルールに縛ることは極めて大変な作業。


❑ 日本がデフレ路線を脱却するには。

経済成長が西欧並みであれば,20年でGDPは現在の2倍になっていた。
緊縮財政・消費増税路線が維持される政治状況 :小選挙区制
小選挙区制は直系家族の一子相続型の不平等主義の選挙制度 :下痢症の社会が必要とする劇薬
便秘症の社会は,平等主義の選挙制度が必要
小選挙区制は多様な意見を排除し,社会のバランスを崩す
共産党が時制出動に目覚めれば,日本は動く,「日本の未来を考える勉強会」の声が自民党内に響き渡ることになる。
車の左右の両輪が動き出すことになる。


中選挙区制は,むしろ平等主義の制度。
小選挙区制により,不平等な状況にあまり目が向かない,政治的なスタンスに関心を持たないという政治状況が生まれた。

同居型=便秘型 〜 問題が起きると固まってしまう社会。
別居型=下痢症 〜 問題が起きると皆バラバラになってしまう社会。
この大きく体質の違う2つが,政治的なレヴェルで何を求めるか。
便秘型では「散らす」選挙制度が必要 = 平等主義が価値を持つ選挙制度が必要となる。
下痢症では,問題が起きると皆バラバラになるので「固める」処方が必要となる。小選挙区制は「固める」制度。

小選挙区制は,ある一部の意見を唯一の代表者として選び,それ以外の多様な意見を無視する。 下痢止めの劇薬。
デンマーク,オランダの海岸線,イングランド,フランス。 放っておくとバラバラになる社会に必要。

便秘症の国が小選挙区制(下痢止めの劇薬)を採用すると,さらに悪化する,社会のバランスを崩す。 そして,どんなに拙い方向に進んでいったとしても,その拙い方向が堅持されてしまう。

小選挙区制を導入したあとの日本の25年ほどの間は,拙い方向に進んできて,その方向が堅持された歴史である。

日本のように便秘症の社会は,平等主義の選挙制度(中選挙区制)が必要である。

共産党は消費税は無しにしようと言っているが,財政出動に対してはネガティヴだが,財政出動に目覚めてくれれば。
自民党内「日本の未来を考える勉強会」は,財政出動と消費増税反対を言う。

この左右両輪により,日本はデフレ路線を脱却できるかもしれない。 してほしい。

< 荻野 文隆 教授 講演 了 >

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フランス10
日仏共同テレビ局

http://www.france10.tv/

https://youtu.be/9dRSFKXZ1S0
02:48:19
欧州の"智の巨人"が講演
「EU・ユーロ体制のフランスとデフレ化政策20年の日本 主権と民主主義、没落は宿命なのか」
フランソワ=アスリノ「人民共和連合」党首
@早稲田大学2018 10 10
日仏共同テレビ局France10
2018/10/10 に公開


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