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zoom RSS NHK 『クロ現』問題へのBPO「意見」と,擁護するに値しない「ヘイト」表現と

<<   作成日時 : 2015/11/07 11:33   >>

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 昨年(2014)8月28日,自民党の「ヘイトスピーチPT」で,高市早苗総務大臣は国会前のデモ規制を「批判を恐れず議論」と発言。
 これに先立つこと4か月,同年4月28日にはNHKに厳重注意を行ったことが,BPOの「 NHK総合テレビ 『クローズアップ現代』 “出家詐欺”報道に関する意見 」にも記録されている。

 今年1月7日,フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件では言論・表現の自由に焦点が大きく当てられ,EUでは大規模なデモがあった。
 「メディアの共犯」だったとも言われる,デモの民衆とはまったく別の安全地帯で「スクラムを組み連帯してデモする各国首脳」の写真が配信されたりもした。
 この一連のことから,たとえ「ヘイト」表現でも表現なのではないかという誤解が大手を振るようになった。
 このEUでの大規模デモは,暴力・殺人・テロに対する反応であって,「ヘイト」でさえ表現として擁護するに値するというメッセージでは,断固としてない。
 
 安易に報道写真をパクってイラストにし「ヘイト」表現であり単なる罵詈雑言を横に書いただけのあの「ヘイト漫画」を,朝日新聞では「差別か風刺か」と取り上げていたことも,私には大きな衝撃だった。校閲部以前に校正が機能でもしていなかったのか。これで新聞だと言うほうがどうかしている。
 あんなものを風刺とは言わない。
 表現の自由を逸脱することを警察力で取り締まる必要はないかもしれないが,文化や表現を飯のタネにしている,しかも大新聞で,あまりにお粗末なことだ。

 そして,昨夜のテレ朝・報道ステーションでは,BPOの「意見」のNHK不祥事だけをクローズ・アップし,放送への政府の介入についてはスルーしていた。
 BPOが発表している28ページにわたる「意見」,項目Y「おわりに」の部分を下部に転載メモしておくが,大雑把には以下のようなことだ。


 高市早苗総務大臣は,根拠して放送法の「報道は事実をまげないですること。」(第4条第1項3号)と「放送事業者は,放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め,これに従つて放送番組の編集をしなければならない。」(第5条第1項)との規定を挙げて厳重注意をした。

 しかし,これらの条項は,放送事業者が自らを律するための「倫理規範」であり, 総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない。
 放送事業者が自らを律するための「倫理規範」であり, 総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない。

 放送による表現の自由は憲法第21条によって保障され,放送法は,さらに「放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによつて,放送による表現の自由を確保すること。」(第1条2号)という原則を定めている。
 しばしば誤解されるところであるが,ここに言う「放送の不偏不党」「真実」や「自律」は,放送事業者や番組制作者に課せられた「義務」ではない。これらの原則を守るよう求められているのは,政府などの公権力である。


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◇ 報道など
http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/28/hate-speech-ldp_n_5727114.html
自民党、国会デモの規制を検討「仕事にならない」 ヘイトスピーチPTが議論
The Huffington Post
投稿日: 2014年08月28日 16時18分 JST 更新: 2014年08月28日 20時39分 JST

http://www.asahi.com/articles/DA3S12031763.html
(Media Times)難民批判イラスト、差別か風刺か 日本の漫画家が投稿、国内外で波紋
2015年10月24日05時00分


◇ 一部転載

http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2015/23/dec/0.pdf

2015(平成27)年11月6日
放送倫理検証委員会決定 第23号

NHK総合テレビ『クローズアップ現代』 “出家詐欺”報道に関する意見

T はじめに

 マス・メディアが伝えるニュースは、現代人にとって自分の身の回りの社会・世界で何が起こっているのかを知る、もっとも重要な手段である。しかし、日常、ニュー スの読者や視聴者は、報道された事実の真偽をいちいち検証することはしないし、また個人では検証が不可能な事象がほとんどである。もし、「いま報道された事実は本当だろうか」と、いちいち疑ってかからなければならないとしたら、われわれの社会・世界に対する見通しはおおいに混乱し、日常生活も成り立たないであろう。テレビやラジオのニュース・報道番組も、放送関係者が真実を追い求め、それが適切に編集された成果であるという視聴者の信頼がなければ成り立たない。


< 中略 >

Y おわりに

 戦後70年の夏、多くの人々が憲法と民主主義について深く考え、放送もまた、自らのありようを考えさせられる多くの経験をした。
 6月には、自民党に所属する国会議員らの会合で、マスコミを懲らしめるには広告 料収入がなくなるのが一番、自分の経験からマスコミにはスポンサーにならないことが一番こたえることが分かった、などという趣旨の発言が相次いだ。メディアをコントロールしようという意図を公然と述べる議員が多数いることも、放送が経済的圧力に容易に屈すると思われていることも衝撃であった。今回の『クロ現』を対象に行われた総務大臣の厳重注意や、自民党情報通信戦略調査会による事情聴取もまた、このような時代の雰囲気のなかで放送の自律性を考えるきっかけとするべき出来事だったと言えよう。

 2015年4月28日、総務大臣はNHKに対し、『クロ現』について文書による厳重注意をした。番組内容を問題として行われた総務省の文書での厳重注意は2009年以来であり、総務大臣名では2007年以来である。NHKが調査報告書を公表した当日、わずか数時間後に出された点でも異例であった。

 総務大臣は、厳重注意の理由は「事実に基づかない報道や自らの番組基準に抵触する放送が行われ」たことであり、厳重注意の根拠は、放送法の「報道は事実をまげないですること。」(第4条第1項3号)と「放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。」(第5条第1項)との規定だとする。
 しかし、これらの条項は、放送事業者が自らを律するための「倫理規範」であり、 総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない。

 放送による表現の自由は憲法第21条によって保障され、放送法は、さらに「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」(第1条2号)という原則を定めている。
 しばしば誤解されるところであるが、ここに言う「放送の不偏不党」「真実」や「自律」は、放送事業者や番組制作者に課せられた「義務」ではない。これらの原則を守るよう求められているのは、政府などの公権力である。放送は電波を使用し、電波の公平且つ能率的な利用を確保するためには政府による調整が避けられない。そのため、電波法は政府に放送免許付与権限や監督権限を与えているが、これらの権限は、ともすれば放送の内容に対する政府の干渉のために濫用されかねない。そこで、放送法第1条2号は、その時々の政府がその政治的な立場から放送に介入することを防ぐため に「放送の不偏不党」を保障し、また、時の政府などが「真実」を曲げるよう圧力をかけるのを封じるために「真実」を保障し、さらに、政府などによる放送内容への規制や干渉を排除するための「自律」を保障しているのである。これは、放送法第1条2号が、これらの手段を「保障することによつて」、「放送による表現の自由を確保すること」という目的を達成するとしていることからも明らかである。
「放送による表現の自由を確保する」ための「自律」が放送事業者に保障されているのであるから、放送法第4条第1項各号も、政府が放送内容について干渉する根拠となる法規範ではなく、あくまで放送事業者が自律的に番組内容を編集する際のあるべき基準、すなわち「倫理規範」なのである。逆に、これらの規定が番組内容を制限する法規範だとすると、それは表現内容を理由にする法規制であり、あまりにも広汎で漠然とした規定で表現の自由を制限するものとして、憲法第21条違反のそしりを免れないことになろう。放送法第5条もまた、放送局が自律的に番組基準を定め、これを自律的に遵守すべきことを明らかにしたものなのである。
 したがって、政府がこれらの放送法の規定に依拠して個別番組の内容に介入することは許されない。とりわけ、放送事業者自らが、放送内容の誤りを発見して、自主的にその原因を調査し、再発防止策を検討して、問題を是正しようとしているにもかかわらず、その自律的な行動の過程に行政指導という手段により政府が介入することは、 放送法が保障する「自律」を侵害する行為そのものとも言えよう。

 もっとも、放送が他からの命令や指導によってでなく自由と自律の下で番組の質を維持し向上させるには、不断の自己検証と努力に加えて、放送局の独善に陥らないための仕組みが必要であろう。そのためにこそ、BPO(放送倫理・番組向上機構)がある。当委員会は、2007年に設置されて以来、番組内容に問題があると判断した場合には、勧告・見解や意見を公表して放送局と放送界全体に改善を促してきたが、これを受けて各放送局は社内議論を深め、正確な放送と放送倫理の向上のための施策を定めるという循環が生まれてきている。政府もまた、このような放送の自由と自律の仕組みと実績を尊重し、2009年6月以降は、番組内容を理由にした行政指導は行わなかった。今回、このような歴史的経緯が尊重されず、総務大臣による厳重注意が行われたことは極めて遺憾である。
 また、その後、自民党情報通信戦略調査会がNHKの経営幹部を呼び、『クロ現』の番組について非公開の場で説明させるという事態も生じた。しかし、放送法は、放送番組編成の自由を明確にし「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」(第3条)と定めている。ここにいう「法律に定める権限」が自民党にないことは自明であり、自民党が、放送局を呼び説明を求める根拠として放送法の規定をあげていることは、法の解釈を誤ったものと言うほかない。今回の事態は、放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである。

 当委員会は、この機会に、政府およびその関係者に対し、放送の自由と自律を守りつつ放送番組の適正を図るために、番組内容に関しては国や政治家が干渉するのではなく、放送事業者の自己規律やBPOを通じた自主的な検証に委ねる本来の姿に立ち 戻るよう強く求めるものである。
 また、放送に携わる者自身が干渉や圧力に対する毅然とした姿勢と矜持を堅持できなければ、放送の自由も自律も侵食され、やがては失われる。これは歴史の教訓でもある。放送に携わる者は、そのことを常に意識して行動すべきであることをあらためて指摘しておきたい。

< 中略 >
 今回の問題によって番組の活力が削がれることなく、キャスターの言葉どおり、視聴者に信頼され社会の真実に迫る意欲的な番組が今後も生み出されていくことを強く期待している。

放送倫理検証委員会
委  員  長 川 端 和 治
委員長代行 是 枝 裕 和
委員長代行 升 味 佐江子
委     員 香 山 リ カ
委     員 岸 本 葉 子
委     員 斎 藤 貴 男
委     員 渋 谷 秀 樹
委     員 鈴 木 嘉 一
委     員 中 野 剛
委     員 藤 田 真 文
放送倫理・番組向上機構 〔BPO〕

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