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zoom RSS 格差とは不平等を固定化するための用語。貧困とは字義どおり貧しく生活が苦しい状態のこと。

<<   作成日時 : 2015/01/18 17:10   >>

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トマ・ピケティ 『21世紀の資本』 Eテレ第2回 (1/3)
 「格差と貧困とはどう違うか」と言われたりするが,格差=不平等。貧困は字義どおり。
 つまり「格差」とは不平等を固定化するための用語として使われ始めている感が強い。「貧困」とは字義どおり貧しく生活が苦しい状態。
 日本での紹介では,不平等 inequality に対して,「格差」 「不平等」と,ときどき訳語を使い分けているようだが,『21世紀の資本』では,「不平等」に統一するほうが理解が進むと 私は考える。
 以下,ピケティ教授のテレビ番組第2回のメモその1。取りあえず,格差という表記は使いました。by Reina


❏ 所得の不平等

総 所 得 = 労働所得 + 資本所得
労働所得 給料・賃金など
資本所得 株の配当・不動産(家賃収入)など

 今日話すのは,私たち個人個人の所得や資産の分配の話しだ。
 私たちは,完全に平等な世界に生きているわけではない。社会全体の不平等(格差)拡大の傾向は,必ずしも常に起こり得るというものではない。
 不平等(格差)の拡大が起こるかどうか,起こるとすればなぜか。
 それを理解するために私たちはいわゆる不平等のブラックボックスに入って行かねばならない。

 まず,所得格差=所得不平等の問題を考えてみる。そのあとで,資産の所有や資産から得られる所得の問題を考えていく。

❏ 不平等のおよその規模
(図表)Basic orders of magnitude about inequality
   Basic orders of magnitude about inequality
・ Inequality of labor income is always much less than inequality of capital ownership
・ Top 10% share : 20-30% for labor income , 50-90% for wealth
・ Bottom 50% share : 20-30% for labor income ; 5-10% for wealth
・ Gini coefficients : 0,2-0,4 for labor income ; 0,6-0,8 for wealth
・ Gini coefficients = synthetic index going from 0 (perfect equality) to 1 (complete inequality)
・ Pb : Gini coeffcients is so synthetic ( it aggregates info from top decile shares , bottom decile shares , middle decile shares)
that it is sometime difficult to understand where it comes from and pinpoint data inconsistencies
  → it is better to use data on decile and percentile shares
〔 decile 十分位数:度数分布で,所与の全データを十等分した点 〕

❏ 所得不平等
 まず,不平等(格差)のおよその規模について見ていこう。
 不平等(格差)についての数字を聞いたら,それがどの程度の大きさか,妥当な数値か をイメージできることが大切だ。
 所得階層の上位10%が,どのくらいの所得のシェアを持っているのか。 資産ではどの程度のシェアか。 下位50%の所得層ではどうか,といったことだ。
 社会全体の所得や富,つまり資本は,どんな割合で分配されているか。

 まず重要なことは,
労働所得の不平等(格差)は,
富つまり資本所有の不平等(格差)ほど
大きくないということだ。

(図表の1行目) Inequality of labor income is always much less than inequality of capital ownership

(図表)現代社会における不平等の現状
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 所得と資本の格差を見るためには,社会全体を所得の上位層10%,中間層40%,下位層50%という3つのグループに分けてみると,よくわかる。
画像

 労働所得で見ると,上位10% によるシェアは,だいたい総労働所得の20〜30%だ。 けれども資産所得となると少なくとも50%,場合によっては90%のシェアを占めるに至る。
 平等な国として知られるスウェーデンでさえ,20年前には上位10%が国全体の富=総資産の50%を所有していた。
 労働所得の分配が 最も不平等な アメリカでは,上位10%が労働所得の30〜40%を占めている。
 しかし,資産の分配となると,最も平等な国々でさえ,アメリカの労働所得の分配よりも もっと不平等で,上位10%は,はるかに大きな資産の割合を占めている。
 これは,歴史をとおして見られる共通のパターンと言える。
 これほど歴然としている事実はない。
 ここから,資産の格差が生まれる 理論的メカニズムを読み取らなければならない。
 上位10%への資産の集中は,所得の集中よりもはるかに大きいということを,肝に銘じてほしい。

 逆に,下位50%は,額に汗して得た所得しかないということだ。 下位50%の層は労働所得全体の20〜30%のシェアを占めているに過ぎない。
 上位10%を除く90%は,資産がほとんどなく,せいぜい10%以下。場合によっては 5%にも満たない。
 つまり,社会の下半分の層は基本的に,資産がほぼないに等しい。

〔 ジニ係数 Gini coefficient 〕:一般に0.4以上で社会が不安定になり騒乱が起きる警戒ラインとされる

 ジニ係数(=社会における不平等の指数)の定義を見ると,係数の範囲は 0〜1の指数で表される。
 ジニ係数が0のときには,完全な平等の状態だ。皆に同じだけの労働所得や資産が分配されている状態だ。
 それに対して,1は完全な不平等を表す。1人の人が所得もしくは資産の100%を占めている場合が,ジニ係数 1だ。
 労働所得の場合,ジニ係数がだいたい 0.2〜0.4
 資産所得の場合だと,だいたい 0.6〜0.8

 ジニ係数を扱うときに気をつけるべきことがある。 ジニ係数は,所得の分配の状態を1つの値で表すことができるので,とても便利だが実は欠点も大きい。
 なぜかと言うと,ジニ係数は総合的な指数のため原因の特定が難しい。 例えば,どの階層の所得の変化によって指数が変わったのかという情報が見えなくなってしまう。 その変化の原因を特定することが非常に難しいからだ。
 ジニ係数だけでは,上位と下位とがそれぞれ,どの程度をシェアしているのかという詳しい状況が分からない。
 具体的なことを知られたくない富裕層にとっては,都合の悪い事実を隠す隠れ蓑になる。
 ジニ係数という一般的な指数だけで議論するのは注意が必要だ。
 少なくとも,上位層,中間層,下位層という3つの区分で 所得のシェアを見なければ分からない。具体的な数字によって,データの信頼度が明確になる。国際比較もできるようになる。

 10%ごとに区切る十分位(じゅうぶんい)のシェアが分かるデータがあると良いね。
 もちろん,1%毎に区切る百分位(ひゃくぶんい)のシェアからジニ係数を算出することもできる。
 しかし,ジニ係数に頼るだけでは不十分だ。
 本当に一国の不平等を計測するためには,納税申告の記録や財政統計といった 精度の高いデータだけでなく,それに加えて,自己申告による家計調査などの不完全なデータも取り入れて計測を行なわなければならない。


 しかし,注意すべきことが1つある。
 所得上位層は,自分たちの所得を正確に申告しないということも,考慮しないといけない。
 所得上位層のシェアについて見る場合には,今言ったデータ以外にも 様々な雑誌が扱う長者番付や財務データなどが役に立つ。こうしたものを全て合わせ活用しなければ,彼らの本当のシェアは分からないということだ。
 最上位 1%や 2%の人々を見る場合には,家計調査によるジニ係数だけでなく,そうした上位集中が分かるデータをも勘案してシェアを求める方法が必要だ。
 ジニ係数だけでは,残念ながら最も資産を持っている富裕層は,さほど裕福に見えてこない。
 その富裕層が,月にいくら得るのか公表する調査があるが,信頼できない。
 だから,他のデータでそこを補う必要がある。
 家計調査のデータがもう必要ないと言っているのではない。
 それは今でも役に立つが,家計調査と他のデータとを合わせて,より正確な不平等の推計を行なうことが大切だ。
 所得もそうだが,資産については より深刻だ。

 上位層の資産保有は,驚くほど小さくしか出てこない。

(図表)時代と国別に見た労働所得格差=不平等
画像

 この表は,労働所得の不平等の大きさを,様々な場所と時間に分けてまとめたものだ。
 これはおよその数字を示したもので,これを見れば,不平等のだいたいの規模が分かるはずだ。

 さて,ここで社会全体をいくつかのグループに分けてみよう。
 専門的な定義では,「上位10%」といった呼び方をするが,ここでは便宜的に所得上位10%を「上位層」 下位50%を「下位層」 中間の40%を「中間層」と それぞれ呼ぶことにしよう。
 国際比較を行なうときには,定義をそろえることが重要だ。
 所得階層を3つのグループに分けることで研究が便利になる点は,話す言葉も全く違い,成り立ちも異なる社会を比較することができるということだ。
 十分位,百分位といった区分は,どの国にも当てはめられるし,歴史的,地理的な比較が可能になる。
 ここでは更に,十分位つまり上位10%を,最上位の1%とそれ以外の9%に分けている。

 格差=不平等の低い国を見てみよう。
 1980年ないし1985年のスウェーデン,1970年代および1980年代のスカンジナビア諸国(図表・縦列・いちばん左側)が,そうだ。 上位層の所得シェアは20%くらいで,下位層が35%,中間層が45%。
「低格差」 所得不平等の最も低い社会では,上位層が労働所得全体の20%程度を占めていて,中間層が45%,下位層が30〜35%を占めている。その場合のジニ係数はとても低く,0.19くらい。
「中格差」 所得不平等が中程度の国(図表・縦列・左から2番目)つまりこんにちのヨーロッパ諸国では,上位層は労働所得全体の25%,下位層が30%を占めている。
「高格差」 そして,現在のアメリカのような不平等の大きな国(図表・縦列・左から3番目)では,上位層が占める割合は35%で,下位層はわずか25%ほどだ。
「超高格差」 これは不平等がさらに進んだ国(図表・縦列・右端)での仮説としてのケースだが,アメリカのここ数十年間の不平等化の傾向が続けば,2030年には,そうなりかねないという例だ。必ずこうなると言うわけではないけれど,現在の傾向が続けば,そうなる。

 この,どのレヴェルの社会に属するかによって,購買力・生活水準・所得水準に関して大きな違いを生むということを理解することが大切だ。
 基本的に,国によって事情が大きく異なる。

 こちら(低格差 1970〜80年代スカンジナビア)(図表・縦列・いちばん左側)は,下位50%が上位10%のシェアの倍を占めている。
 つまり,上位10%は下位50%の倍ではなく,半分に過ぎない。
 だがこちらの(超高格差 2030年?アメリカ)(図表・縦列・右端)不平等が著しい国は,その逆だ。
 だから,20%対35%,35%対25% 

 数字で見ると小さな違いに見えるかも知れないが,実際には,現実的な生活水準や,集団の経済的支配力といった意味で,違いは大きい。

【学生・質問】
 ジニ係数と所得上位層のシェアとは,関係があるのか?


【ピケティ教授】
 関係がある。
 上位層のシェアが上昇すればジニ係数も増加するし,下位所得層のシェアが高まれば ジニ係数は低下する。
 ただ,同じジニ係数であっても,例えば 0.36という高いジニ係数の社会で,上位層が45〜50%を占めていて,中間層と下位層が同じ程度のシェアの場合には,中間層と下位層には不平等がない。事実上,中間層がない状態になる。
 つまり上位層が大きなシェアを占め,上位層以外は平等という,同じジニ係数でも,全く違った意味を持つことになる。

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