銅のはしご

アクセスカウンタ

zoom RSS 固定化した格差「容認」を,まさにイデオロギーとして進めている現在の資本主義

<<   作成日時 : 2015/01/15 15:50   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 ここ半世紀ほど主流となっていた経済学がマルサス,リカード,マルクスという古典からできるだけ離れ,確率や統計という 数学的手法を駆使しては「上位層」の役に立つことを中心にしてきたのは,なぜなのか。
 私はむしろ,そこにイデオロギーを感じる。
 資本主義経済がどうとか共産主義経済がどうとか言う以前の問題と私は考える。

 その前にまず,トマ・ピケティ教授の統計データを収集する方法は,学問的方法として,実に古風な王道。これは,2014年5月7日(水)堀茂樹教授が 『21世紀の資本』 を以下のように紹介していたとおり。

 「歴史の学派でアナール学派 L’école des Annales そのメッカがフランスで,フランスで生まれたひとつの知的伝統なんですが,そのアナール学派的な歴史を,経済に関して行なった,と。
 そして特に このトマ・ピケティは,貧富の,富の偏差,富の配分と言いますか,配置と言いますか,富が偏(かたよ)って人類の中にあるわけですが,それが,どのようになってるのか,どのように推移してるか,っていうことの専門家なんですね。
 経済を,歴史的に見て,書いた本なんですね。」堀教授
(※1)

 学問がテーマを見失ったまま学問面していることも多く,言わばアメリカ流の 「統計理論」や「計量経済学」の中には,分配の理論を始めから無視したものも多い。 私はそこにまた,ピケティ教授の学者としての王道をも見る。

 「所得と富(資産)の分配は,経済学や政治経済学の極めて重要なテーマ」 ピケティ教授(※2)

 深刻になる格差の問題を捨て置く政治を見て,とりわけ政治経済学的にではなくても,まっとうな生活者の感覚には今の日本で起きていることがハッキリと映っている。
 先週土曜日1月10日に「孫を心配するおばあちゃん」さんは,こう喝破しています。
「基本的なことが壊れて働くちからが弱くなっている」(※3)

 日本では深刻な不況と言われてから15年以上経つ。
 1999年の吉本隆明 『 僕なら言うぞ 』 を真似れば 「 政府を先頭に,学者もマスコミも知識人も」 格差容認,格差助長という傾向は,ますます激しいように思う。(※4)

 「資産の所有者は,その資産で裕福な暮らしを送りながら様々な活動を行なう余裕を持てる」 ピケティ教授(※5)
 
 で,TBSのポッド・キャストはまだ聞けるかと思うが,1月8日(木)のラジオ番組では「話題の経済書 ・ピケティ 『21世紀の資本』入門編!欧米を熱狂させた経済書で、ピケティは何を論じているのか?」(※6)
 これって,今の日本に必要な経済書ではなくって 「欧米を熱狂させた」となっているんですね。
 マスコミが第4の権力と言われてからどのくらい経つのか,既に大マスコミなら一部上位層にいる,もしくは中間層のうちでもトップにいるからなのか,「データを見て冷静に議論」 なんて言える“余裕”とは,台所でボウボウ火の手が上がっているのに,この季節,お玄関の花は何が素敵かしら,って仰っていらっしゃるわけですしね。
 これで「安倍政権延命」の“謎”が,1つ解けたのではありませんか。

 人類の経済史300年間にわたって固定化されている不平等。
 識字率ほぼ100%の日本人ならば,トマ・ピケティの『 21世紀の資本 』 を,だいたいの人びとが理解できるはずで,本は売れたほうが良いけど内容に熱狂されちゃあコマルという方向で紹介されている感がハンパないのは,もう皆さんお気づきですよね

 相変わらず「ガンバラなかった奴がダメだ」 「能力のある奴が上位でいいだろ」 「分厚い中間層の復活」とか,そういう幻影にしがみつかせておきたい。まあ,一番酷かったのは「日本を取り戻す」とか「デフレ脱却」とか意味不明な安倍総理の言い種ではありましたが。
 まさか学者もマスコミも知識人も「戦後市民主義者」たちも,「下位層」がのし上がると 自分たちの「取り分」が減るんじゃねえのってケチな生き方で固まってるんじゃあないでしょうね。

 そう。思いだすのは,芥川龍之介の『 蜘蛛の糸 』のカンダタ。(※7)
 ほんとうは,自身が地獄に真っ逆さまにならないうちに,格差を解消しようと 努力するほうが,誰もが助かる途のはずですよね。

にほんブログ村 政治ブログ 議員応援・議員批判へ

にほんブログ村 政治ブログへ
(※1)
http://4472752.at.webry.info/201405/article_13.html
堀 茂樹教授 トマ・ピケティ 『 21世紀の資本 』 を紹介 [1/2] 未定稿
(※2)
http://4472752.at.webry.info/201501/article_13.html
労働所得の高い不平等化 トマ・ピケティ 『21世紀の資本』 第1回(1/3)
(※3)
http://4472752.at.webry.info/201412/article_29.html
◆コメント 2015/01/10 10:16
孫を心配するおばあちゃん
一生懸命働いて税、保険、年金を納めるのが義務ならば、働き方を守るのが国の義務。 基本的なことが壊れて働くちからが弱くなっている。小沢代表のまわりに同じ思いの皆様が集まって、あらゆるほころびを治してほしい。有能な方たちが沢山集まることを期待します。

(※4)
吉本隆明 『 僕なら言うぞ!』
p.123〜125 ふぬけた日本人が経済を滅ぼす
p.123 1〜2行目
 現在、深刻な不況とサラリーマンや労働者の深刻な「リストラ」失業に直面して気がついたり、判ったりしたことが大きく言うと二つあります。
p.123 6〜7行目
 民衆が着たいものを着たり、食べたいものを食べたり進んだり休んだり自由になることができることは、歴史の主要な目的なんです。
p.125 1〜3行目
 だけど政府を先頭に報道機関、経済専門家、世論を形成する知識人、仕方なしに内心で首を傾げながらも、それらを常識かも知れないと思い込もうとしている一般の国民の大部分まで、声をそろえてやろうとしていることはまったく逆の順序です。

画像

青春出版社 1999年9月20日初版 (文庫版は2002年)
買ったとき 定価 \1470(本体¥1400+税5%)


(※5)
http://4472752.at.webry.info/201501/article_15.html
長期にわたる富の所有の不平等 トマ・ピケティ 『 21世紀の資本 』 第1回(3/3)

(※6)
http://www.tbsradio.jp/ss954/main-session/
荻上チキ session22
(※7)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html
青空文庫 蜘蛛の糸 芥川龍之介

◇ 蛇足
http://4472752.at.webry.info/201501/article_12.html
2015/01/11 23:50
1)ピケティはテレビで学べ。 2)文民統制なき日本の内閣,どうするの。
山形浩生さん コメント 2015/01/13 17:03
「訳す前、訳す途中、ゲラ初校、ゲラ修正、再校ゲラ修正と、4−5回は通読」


 これ,訳者ご本人がわざわざ言い訳なさっているんでしょうか。3か月であの分量を翻訳したって,いくら経済学とか化学とか数学とかの英語はラクだからって,何だかやっつけ仕事だったんでしょうかと勘繰りたくなります。
 「通読」と「訳すべき研究書を読みこんだ」では,違います。
 件のラジオですか? こんな会話でしたよ。


荻上チキ ; 貧困というのは経済学では結構ホットなテーマだったりすると思うんですけど...

山形浩生 ; ええ。

荻上チキ ; 貧困と格差って,どう違うんですか?

山形浩生 ; 格差っていうのは,えー,その,まあ相対的な違いですね。えー,で,あのう...貧困というのは,こいつが,そのう...えー,まっ,何か買えるかとか,飯が食えるかとか,学校へ行けるかとか,そういう絶対的なものだと。そこら辺,あのう...貧困の捉え方も色々だし,格差の捉え方も色々なので,えー,重なる部分はあるんですけれども,両方の違いと無理に言うならば,そういうところにあります。


荻上チキ ; これ(『21世紀の資本』)が各国で話題になっているということは,各国でも今格差をめぐる議論というものが盛り上がっているわけですよね。

山形浩生 ; はい。

荻上チキ ; 因みに日本では,どんな受け取られ方を期待して,訳してました?

山形浩生 ; あのう...うん...まっ...そうですね...あの<笑いながら>訳してるときは,すごく,そこまで考えないですけども。

荻上チキ ; <笑いながら>ただ忙しいっていう...

山形浩生 ; そうですね。あの...うん。ただ,格差って,そのう...ちゃんと議論しなくちゃいけない話ではあって...それで,もちろん日本でもちゃんと研究している方とかいらっしゃるわけなんですけども,やっぱり,あのう,どうしても,ええー...ジャーナリスティックな,この「貧しい人がここにいます。可哀そうでしょう」っていう話と,それからあと,まあ一方では「いや,いや,そんなことはないのだ。資本主義ってのはそういうもんなんだし」

荻上チキ ; はい。

山形浩生 ; あのう「当然,立派な奴が金儲けして何が悪い」って,そういう話で,何か非常にイデオロギーと思い込みで議論が進むような世界っていうのは,やっぱり,どうしてもある。それを,ちょっと変えて「まあ,データ見ようや」せっかく彼のウェブ・サイトもこの本も。あんまり日本は出てないですけども,ちゃんとデータあるんだから,先ずそっから話をしようや,っていう共通基盤を作ってくれた,と。それで,格差に対する議論が冷静なところから始まってうまく進めば一番良いなというふうには思ってました。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
固定化した格差「容認」を,まさにイデオロギーとして進めている現在の資本主義 銅のはしご/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる