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zoom RSS 教育委員会制度改革のメモ

<<   作成日時 : 2014/02/15 00:23   >>

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だいたいのラジオ番組文字起こし

TBS RADIO 954kHz  2月13日(木)
荻上チキと南部広美の SESSION 22 

ゲスト: 村上祐介 氏(東京大学大学院 教育学研究科准教授 中央教育審議会臨時委員)
電話ゲスト:大森不二雄 氏(首都大学東京 大学教育センター教授 元文部科学省官僚・大阪市教育委員長)


「 教育委員会制度の論点整理 」
政府与党が進める教育委員会改革
安倍総理が,抜本的な改革を施政方針演説で約束した
教育委員会制度の見直しに必要な改正案を提出する方針

教育委員会とは何か
如何なる経緯で成立した組織か
その具体的な権限は何か
今,教育委員会の何が問題となっているのか


§ 教育委員会

村上祐介 ; 専門は教育行政学。主として教育委員会制度に関する研究。その歴史を調べたり,最近では市長村長にアンケート調査をするなど。

教育長と,教育委員長と,両方いることは,一般の理解が進まない部分。

教育委員会は,中心は学校教育。社会教育,スポーツ,文化に関する決定権を持っている組織。
全ての自治体(都道府県,市町村)に教育委員会を置くことになっている。

都道府県教育委員会
先生の採用・人事。道府県立高等学校の管理。
道府県の文化,スポーツ,社会教育,文化財保護。
学校教育では,道府県立学校の多くは学校が教科書を選定するが,例えば県立特別支援学校の教科書決定。
社会教育(学校教育以外のほぼすべて)については,市町村教育委員会の比重が高い。公民館,コミュニティセンター(例:地域の団体の学習会の運営の手伝い),公立スポーツ施設の運営。

組織
広義の教育委員会
 
普段,事務局で働いている市役所職員。
先生の中で出世しそうな人とかが突然学校からいなくなるのは,教育委員会の職員になる。
学校の管理,教職員の監督(先生の仕事をチェック)の権限。

狭義の教育委員会
今問題になっている,決定権を持っている教育委員と呼ばれる5人
行政の最高責任者は,選挙で選ばれた首長だが,教育に関しては首長が1人で決定するのではなく,首長が任命した5人の教育委員が話しあって合議で決定する。
首長が議会の同意を得て,5人を任命。教育のプロでなくとも識見のある5人。その5人の中から,1人教育委員長を首長が任命。任期は4年。
教育委員長は代表だが,決定は,5人で行なう。
5人は,非常勤。給料は自治体によってバラつきがあるが,月数万円程度が多い。大抵は,兼業で,医師,企業経営,主婦,退職した校長など。
任命の権限は首長にあるが,自治体により違う。
慣習的に,各中学校区ごとに1人ずつというケースもあれば,職業で何となくの枠があり任期が来れば医師が別の医師を,ということもある。
任命のルールはない。
保護者は1人入ることには,なっている。


§ 教育委員長  教育長

5人の教育委員の中から1人教育委員長を選ぶ。教育委員長は代表者だが,非常勤。
のこりの4人の中から教育委員と教育長を兼ねる1人を選ぶ。
この教育長は常勤。日常の業務は,教育長が取り仕切る。任期は4年で再任は可能。出身は,教員(校長退職後)と,教育の専門家ではない一般の行政機関の職員(役所退職後)。


§ 改革案の議論入り口

村上祐介 ; 大津のいじめ事件で,教育委員会が攻撃の対象になった。
これは5人の教育委員に情報が上がらなかった。事務局で,止まってしまった。

今回の改革の議論は,5人の教育委員の格下げ。
最終決定権を,首長に移す。
教育委員会は審議会とする。いわゆるアドヴァイザーに格下げし,決定権はなくする。(A案)

日常業務は,教育長が行なうことにはなっているが,いざとなれば首長が前に出て行けるという仕組みにしようという案もある。


§ 歴史

村上祐介 ; 65年前の1948(昭和23)年,教育委員会制度ができた。
戦前の国家主義的教育や,政治が教育を支配した,教育の専門性が活かされなかったという反省から。
教育を政治的に独立させ一般の政治や行政から切り離して運営し,教育の地方分権を進めるという2つの目的から,戦後つくった。

荻上チキ ; 自治体のトップが任命するというのは独立性に対して疑問では?

村上祐介 ; 戦後できた当初は,5人の教育委員を選挙していた。しかし,次の首長を狙っている人間が教育委員に立候補する,あるいは予算をめぐって紛糾したり,他,政治的な思惑があった。
1956(昭和31)年に自治体の首長が任命する形になった。

教育委員会制度を廃止する,やめてしまうという選択肢の検討もあった。

公選制を続ける,やめる,この妥協として現在の形,任命制になる。

荻上チキ ; 公選制の当時のメリットは?

村上祐介 ; メリットは,1人で決めるのでなく,民主的に複数を選ぶこと。独立性を保ったまま,教育に特化した代表を選ぶこと。
デメリットとしては,首長との衝突が起こり易かった。また,投票率が低かったので,組織票である教職員組合の影響の強い人が多く当選した。

荻上チキ ; GHQとの関係については?

村上祐介 ; 占領軍が教育委員会制度を打ち出した,アメリカの制度を輸入したという側面はあるが,最終的に日本は受け入れた。もし,押しつけと言うなら,なぜ今まで続いているのか。
日本型の教育委員会制度になっている。

荻上チキ ; GHQは,日本の特定の思想を教科書や教育の中で押し付ける体制そのものが,アメリカにとっても脅威で,教育にとっても良くないという理由か?

村上祐介 ; 教育の民主化が一番念頭にあった。
そのためには,一般行政からは切り離して,別に選挙をして,市民が直接教育を統治する仕組みにしたかった。

荻上チキ ; その意味からすると,公選制から任命制になったことの違いは?

村上祐介 ; メリットは,首長との連携が取り易くはなった。いざという時教育委員会が首長にストップをかけることができる。任命制では,首長と同じ考えの人が委員になりやすい。
ただ,最近の例では,首長が学力テストの公表をしようとする時に教育長が説得したり,大阪の桜宮高校のケースも突然橋下市長が「学科を潰す」としたが,教育委員会が話しをするなどのメリットはある。

荻上チキ ; 首長からすると自分が任命したのに逆らわれたと,おもしろくないのでは?

村上祐介 ; それが,教育委員会の目的だ。いわゆるセィフティネットの機能。
デメリットは,非常勤で,任命されているので,やはり中途半端であること。非常勤なので情報も上がって来ないこと。事務局が決めたことを形式的に通すという形骸化に陥りがちであること。

荻上チキ ; 事務局をどうするかがまた1つの政治課題になる。


§ 改革での課題と改革案

村上祐介 ; 事務局や学校が閉鎖的な体質であったり,隠蔽が起こった場合に,どうチェックをかけるかが,今回の改革での1つ大きな課題。

荻上チキ ; 改革の必要は,いつからどういう理由で出てきたのか。

村上祐介 ; 直接には,大津のいじめ事件で,責任が不明確であるという批判が発端。

荻上チキ ; その前から改革論の議論自体はあったのか?

村上祐介 ; 教育委員会の形骸化は昔から指摘をされていた。5人の教育委員が,理念通りには上手く行かないという議論はあった。
今回かなり久しぶりに教育委員会を事実上廃止する議論が出てきた。

荻上チキ ; いじめ対策などの緊急事態という議題になっている。
ちょっと前には「日教組に牛耳られてる」「特定の組織の意向が強い」と言う議論もあったようだが。

村上祐介 ; どうやってチェックするかの話になるかも知れないがそもそも日教組が本当に今この時代にそういうことをしているのか(笑)。

荻上チキ ; 組織率の低下が言われている。

村上祐介 ; もちろん,そういうことがあった場合に,どういうふうに適切な市民目線でのチェックをかけるかは,制度として議論できる。
「日教組支配」に関しては,そもそもその認識は正しいのか検討の必要がある。

荻上チキ ; ガヴァナンス,適切なチェックが働く運用体制の実現のために制度改革が必要だと言う。

村上祐介 ; 改革案にA案,B案とある。
A案は,最終決定権を首長に移し,教育委員会は審議会に格下げし決定権を持たせない。
B案は,現状の教育委員会の決定権を残して,しかし教育委員会と教育長の役割分担を変えることで,教育長に緊急事態の責任を明確に持たせる。首長に決定権を移さない。

荻上チキ ; B案は現状に近いのか?

村上祐介 ; 今は,法律上の建前では教育委員会の5人の教育委員がすべての責任を持っている。非常勤なので,実際は無理だ。
B案は,日常のオペレーション・日常の学校運営は,教育長に任せる。
緊急事態の対応も教育長に任せる。
教育委員は,それを事後的にチェック,また,必要な場合にチェックをかける,予め方針を決めておく,という仕事に限定をする。

南部広美 ; チェック機構として働くということ。

村上祐介 ; 大枠の決定とチェックに限定をする。

荻上チキ ; 第三者委員会と言われていたものに近づくのか?

村上祐介 ; はい,ただ,決定権は持っているので,いざという時は自分達で決定する。場合によっては,教育長を罷免する。

荻上チキ ; 首長が関わっているので,第三者ではないので今より変わる。

村上祐介 ; はい。

荻上チキ ; A案の「審議会にする」というのは,どのくらいの活動を審議会がすることになるのか?

村上祐介 ; 人事・教科書採択は,政治的中立性がより強く求められる。
A案では,それについての基準を決める。ただ,具体的にどうするかは教育長に任せる。教育長に何か非があった時は首長が出ていけるとする。

荻上チキ ; A案は,かなり首長の権限が強くなる。

村上祐介 ; はい,そうです。

荻上チキ ; 審議会はルールはつくると言うが,形骸化しそうな気もする。

村上祐介 ; 現状でも教科書採択の基準はあるにはあるが,曖昧。抽象的な文言が多い。具体的な基準はつくりにくい。具体的な決定は首長と教育長に任せる。

荻上チキ ; 首長の権限を強めることによって統括管理することを求める人にはA案がメリットがあると映る。他にはどんな案があるか?

村上祐介 ; C案がある。教育委員会の決定権は残す。教育委員長と教育長を兼任させる。教育委員会のトップを教育長にする。
現行制度は,教育長が実権を握っているが,法律上は教育長は教育委員会の部下である。5人の教育委員会が決めて教育長が実行するという上司・部下の関係。
C案は,実権を持っている教育長を制度上も教育委員会のトップにする。緊急対応もする。

荻上チキ ; このメリットとデメリットは?

村上祐介 ; A案B案のネックは教育長を責任者にするのが当初の改革プランだったのに,A案は教育長が首長の部下であること。
B案は教育長が教育委員会の部下であること。責任者なのに誰かの部下であること。
C案は教育長が,責任者になっていることがメリット。責任の明確化という点では,分かりやすい仕組み。デメリットは,今もかなり力を持つ教育長兼教育委員長が今以上に力が強くなり過ぎるという懸念。


§ ABC各案

荻上チキ ; A案 B案 C案,それぞれどんな人がプッシュしている案か?

村上祐介 ; A案は実は首長の一部。
報道では,大きくA案は首長,B案は教育関係者の支持とされるが,私の調査では,B案支持の首長も多い。首長が責任者になることに反対の首長が6割ぐらい。

荻上チキ ; 何故か?

村上祐介 ; 政治的中立性は必要だと考える首長が,個人では意外に多い。ただ,市長会や知事会の団体ではA案を支持。

荻上チキ ; 今のトップがリーダーシップを発揮してやるとA案を支持しても,次に別のリーダーになってまったく違う政治理念でやられることも想定して首長は賛成しているものなのか?

村上祐介 ; 継続性・安定性も必要ない,政治的中立性も必要ない,と言う方もいる。選挙の結果なのでと。

荻上チキ ; C案の出てきた過程は?

村上祐介 ; A案B案の折衷で,政治レヴェルで出てきた。もともとは中核市教育長会がこれに近い案を出していた。
中央教育審議会がA案B案両方出てきた。そのあとで,自民党と公明党の折衝の中でC案が出てきた。

荻上チキ ; 自公はC案を推しているのか?

村上祐介 ; 今日(2月13日)のニュースでは,大筋合意とあるが,自民党はA案派とB案派が割れていた。自民は,教育関係に熱心な文教族の議員の中でも分かれている。比較的最近当選した議員ではA案が多いという話を聞いている。慎重な議員は,B案派。
公明は,A案はダメだとB案に一本化。
維新の会は,明確にA案。
みんなの党は,各自治体でA案B案を選ぶ「選択制」を主張。

荻上チキ ; 1回選んだら,そのままか?

村上祐介 ; 制度設計次第だ。
実はこの「選択制」は小泉政権の時に検討されたことはある。
民主党はA案をベースにしているようだ。ただ民主党政権の時には最初,教育委員会を廃止すると言っていたが実際にはしなかった。
共産,社民はどちらかと言えばB案だが,A案B案ともダメだと主張。つまり公選制(に戻す)も一部ある。
中央教育審議会でも,割れていた。

荻上チキ ; 後半は,大阪市教育委員長・大森さんに電話をつなぎ,どの案が良いかの議論があるかを伺う。


§ 首長の権限強化は市民のチェックか?権限を持つこととチェックをすることとは別

大森不二雄 ; 何が改革の目的かが忘れられている。1つは閉鎖性。
大津で,事務局が教育委員に情報を上げていなかった。教育界の仲間内の行政になっている。教育委員会という,事務局主導の行政の問題は,保護者・市民ではなく,教師・教員・教育行政に携わる職員の方を向いた行政になりがちだ。
答申の中で首長に権限を移すとしてあるが,積極的な意義付けがまったく書かれていない。何故,首長を関与させるのかの意義付けがまったく書かれてない。
逆に、政治的中立性とか継続性・安定性と,首長の関与を如何にして制限するかという趣旨の警戒感からの記述で満ち溢れている。
首長を関与させる最大の目的とは,地域住民の意向つまり民意を反映すること。その点まったくふれていないのが答申の大きな欠陥。
A案の立場だが,答申に書かれているA案は,マスコミが言うように首長に全権限が移る案ではない。首長から教育長に指示ができるケースは,非常に特異なケースだけ。教育長をクビにする更迭するのは,更に特異なケースしかできないように書かれている。

荻上チキ ; 特異とは,どのようなケースか?

大森不二雄 ; 罷免のケースでは「教育長の仕事が適当でないので学校運営に著しい支障が生じている場合など」 これは,普通にやっていればまずあり得ない。

荻上チキ ; 通常にやっていて問題ないなら,クビにする必要はないのでは?

大森不二雄 ; 教育行政について色々政策をやったら良いということを,全部,教育長・事務局が決めて行く。首長が一々口を出さない。「大綱的方針だけ示す」 
これは,いったん教育長を任命すると糸の切れた凧になりかねない。指示も出せない,言うことを聞かなくてもクビにもできない。
首長の関与を忌み嫌う論調が多いが,首長の関与とは民主的な統制だ。
教育長とは官僚だ。教育長以下の事務局職員は,官僚機構だ。
官僚機構は,誰か民意を背負った人間が統制しなきゃいけない。これまでの今の制度の建前は,教育委員5人の集合体が指揮監督。
一番素直な案は,その全権限・全責任を首長に移して,日常的には教育長にやらせるが,首長が特異なケースだけでなく大事な指示はやれる。責任と権限の所在をはっきりすべき。
今のA案の制度設計では,首長が最終責任者という表現があるが現実問題としては指示もしない。教育長が実質的な権限者だ。A案が,あたかも首長が全権を握る案だという前提での報道が間違っている。

荻上チキ ; 大森さんは,A案より更にもっと首長に権限を委ねるべきだと?

大森不二雄 ; はい。

荻上チキ ; 特段の支障がなくても,例えば首長の言うことを聞かないと判断されれば,その都度変えることもあるのか?

大森不二雄 ; 首長の,自治体の教育政策についての意向が実現できない場合は,違った方向に歩いているようならば(クビにする)。

荻上チキ ; それは,首長が選挙で選ばれているから,民意だから,が根源にあるということか。

大森不二雄 ; 根源はそうだ。教育政策で別に選挙で選ばれたわけではないと言われるが,教育に限らずあらゆる分野について,そういうことを言い出せばキリがない。
地方自治また国政も最終的には民意をバックにした,制度上,選ばれた人間が責任を持つ。地方自治では,それは首長と議会しかない。
そこを忌み嫌うのは,民主的な統制の効かない官僚機構を信頼している議論だ。
首長の関与を警戒する議論が多いが,政治家つまり民意を背負った人間よりも官僚機構を信頼できると思う発想だ。それが良いとは言っていないが。

今の制度上まったく形骸化して名誉職化しているという批判は当たっているが,教育委員は,合議会の委員会は全権限・全責任を背負っている。現実問題,日々のルーティン・ワークを教育委員がやるわけではないので,それと同様に全権限・全責任を首長が背負うべきだ。
教育以外の行政分野は,皆そうなっている。教育だけ(別にする)のを考え直さなくては,弊害の方が大きい。
閉鎖性にしても,教育委員がやっていることではなく,教育長をトップとする事務局の方の問題だ。合議制の委員の権限を教育長1人に移せば万事解決するという発想になって,とうとうC案が出てきたのかと。

荻上チキ ; 公選制についてはどうか?

大森不二雄 ; 戦後にその試みはあったが,低投票率の中で一部の勢力によって選ばれる委員が続出などで失敗した。現実問題として,他にも人事委員会などの色々委員会がある。それらは基本,首長と議会が直接やるのは難儀の場合,関与して委員会を設ける。

荻上チキ ; 現状を改革する方が良いということか。ここまでの大森さんの話を聞いて,いかがか。

村上祐介 ; 民衆のチェック,市民のチェックなど市民目線は必要だ。
ただ,それが,首長に権限を移すことが解決策なのか。
これは,チェックをすればいいんじゃないか。事務局とか教育長に何か起こった時に教育委員会がチェックをするだけではなくチェック機能を持たせる。
首長がチェックをすることは構わないと私は思うが,権限を持つこととチェックをすることとは別。かなり違う。色んなチェック機能をかける。

首長が1人で責任を持つことの危険を考えると,その方がベターじゃないか。
1人で決めるということが,教育を決めることにとって,良いのかどうか。
1人が最終責任を持つことは,良いのかどうか。
責任と権限の一致と今回の議論でよく言われていたが,今,責任と権限が分散しているのは,今の制度は,首長の権限が非常に強いからだ。
じゃあ,警察も,首長直轄でいいのか? 選挙管理も,首長直轄でいいのか? 行政委員会全体の話になりかねない。
やはり,1人で決めない。合議で決める。チェックを重視するのが重要だ。

荻上チキ ; 実際に権限を持たないと,単に形骸化したチェックになるのではと言う批判については?

村上祐介 ; 首長は,予算権もあるから,何もできないわけではない。首長に人事権とか教育委員の任命権とか予算権もある。大津の事件のように働く時はある。

荻上チキ ; 今出ている案ではどれを?

村上祐介 ; 私は,教育委員会に決定権を持つということで,B案か若しくはC案が良いと考えている。
日常は,A案B案C案でそんなに変わりはないだろうが,もし首長と教育長乃至教育委員が本当に決定的に対立をした時に,セィフティネットという意味で,B案C案の教育委員会が決定権を持っておくことは,今でも強い首長が暴走するのを防ぐためには必要じゃないか。

荻上チキ ; トップの暴走については?

大森不二雄 ; トップの暴走と仰るが,地方自治は,教育以外の行政分野はトップが責任者になっている。それぞれ福祉だとか環境だとか担当分野ごとに局長を置いてやっている。暴走だからって,思いつきであちこちでトンデモないことが起こるって話ではない。
最終責任を負っている人間が指示を出せないのは,制度として欠陥,制度になっていない。
A案では,執行機関が首長で,それを補助する補助機関が教育長。なのに補助機関たる教育長の首長からの独立性云々している。それは論理矛盾で,最終責任者・首長が責任を負えないような制度設計になっている。

荻上チキ ; むしろ教育委員会の側の暴走を止められないという批判か?

大森不二雄 ; いわゆる教育委員会=事務局だから,そちらの意味だ。
暴走と言うよりは,内輪の論理でのある種「教育村」みたいな行政が全国各地で行なわれてきていることが,大津にしろ,私共の遺憾な不幸な事件・桜宮高校の事件の背景にあるわけで,これは大津や大阪市が特異なことではなく,背景になる教育関係者の自治みたいな体制を見直さなければ,いじめや教師の暴力だけでなく,学力を向上させる,いじめや暴力をなくすとか,真摯な取り組みを教育関係者に求めていくには,やはり教育関係者自身が自分達を統治してはダメだ。

荻上チキ ; それを改革するためには,自治体レヴェルだけでの議論ではダメなんだということがあるのか? 教育委員会の全ての制度というものを,変えていかないといけない。それが根本なので独自のことでは対応できない?

大森不二雄 ; 根本は国の制度だ。現実問題としては,事務局主導を許す。何故かと言えば非常勤の委員の集合体・合議制機関が全ての責任・権限を持っている制度の建前。

荻上チキ ; 首長は,その都度口出ししたり好き勝手することにはならない制度にもする必要はあるか?

大森不二雄 ; 政治的中立性は何なのかを定義すべき。例えば歴史認識とか安全保障問題を,教育内容において特定の考え方に,とは,中立性の問題になる。
ところが大阪市では,全国学力調査の結果を学校別に公表する。これは教育政策そのものであり,中立性の問題ではない。

荻上チキ ; 時間が来てしまいました。ありがとうございました。
村上さんにも,ぜひ番組にまたお越しいただいて議論の続きを。


◇ 番組情報
TBS RADIO 954kHz
毎週 月〜金 22時〜24時55分(金曜は23時55分まで)
荻上チキと南部広美の SESSION 22

音声は以下で
http://podcast.tbsradio.jp/ss954/files/20140213main.mp3
ポッドキャスティング


◇ 新聞記事
毎日新聞 2014年2月14日(金)
http://mainichi.jp/select/news/20140214k0000m010132000c.html
教委改革:安倍首相、与党に配慮示す
毎日新聞 2014年02月14日 07時20分
http://mainichi.jp/shimen/news/20140214ddm001010200000c.html
教育委員会制度改革:教委トップ、首長が任免 教育方針、協議会を新設――政府・与党
毎日新聞 2014年02月14日 東京朝刊

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