銅のはしご

アクセスカウンタ

zoom RSS 公的セィフティネットの議論と,生活保護法の問題点 【3】

<<   作成日時 : 2014/01/05 16:48   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 公園で暮らす方たち,いまだ仮設住宅で暮らす方たちは,どんな1年の始まりだったろう。
 去年から気になっているのは,やはり,“若者の意欲”とか“頑張った人が報われる”と言って恥じない人びとの意識のことだ。
 5年前の「年越 し派遣村 」から,どれほどの方々が努力の報われる“社会復帰”を果たすことができたのだろうか。
 永田町や霞が関では,血を吐くような努力をしても報われない,救われない人生があることを想像したり実感できる人は少ないのだと感じる。
 意欲や努力で何らか成功できる可能性が大であるということは,社会全体の経済が成長軌道にあるときのことだ。

 個人的にはまず生活保護法の「保護」という表記に,不満がある。どうしても権利意識を健全に考えさせない意図が見え隠れする気がしてならないから。

 でも,同じようなことは,日弁連でも考えていたようだ。権利性を明確にするために「生活保障法」に改めるべきだとする提言のリーフレットも見つかる。 現実のサポートが満足いくものであるかどうかは別にして,とりあえず日弁連の見解は以下のようなものだ。一部ユーザーから不満の言われるpdf ファイルなので,利用しやすいようにワード形式にして,全文転載。



生活保護法改正要綱案
──権利性が明確な『生活保障法』に

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf(2009年6月初版発行 2011年2月第2版発行)

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf
JFBA 日本弁護士連合会
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1−1−3
TEL.03-3580-9841(代)

Q & A 今、ニッポンの生活保護制度は
どうなっているの?
〜生活保護のことをきちんと知って、
正しく使おう〜

 生活保護は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化したもの。恥ずかしいこと、隠さなければいけないことでもありません。資産や能力を活用しても、生活を維持できないとき、権利行使として生活保護を利用できるのです。
 しかし、残念ながら、生活保護については、誤った情報がまことしやかに流布されて、様々な偏見を生んでいます。
 日本弁護士連合会は、生活保護について正確な知識を得ていただくため、このリーフレットを作成しました。

あなたの生活保護の「常識 」をチェック!
(正しいと思うものの□に して、中面を開いて確認してください。)

□ 生活保護利用者は過去最高に増えている。
□ 日本の生活保護の利用率は、諸外国の中で高い。
□ 不正受給が年々増えている。
□ お金持ちの家族が生活保護を受けているのは不正受給だ。
□ 働けるのに働かないで生活保護を受けている人が増えている。
□ 生活保護基準が、最低賃金や年金より高いのはおかしい。
□ 生活保護基準が引き下げられても、非利用者には関係ない。
□ 生活保護費を減らさないと財政が破綻する。



Q1 生活保護利用者が過去最高になったと聞きますが?

A1 人数は最高になりましたが、利用率は減っています。

 現行生活保護法のもとで、生活保護利用者数がこれまで最高だった1951年の204万6000人を超えたことから、この様な指摘がされています。
 しかし、人口も 1.5 倍に増えているので、過去最高の利用か否かは、人数の単純比較ではなく、利用率で比較すべきです。利用率は減少しており、1951年度の 3分の 2 にすぎません。仮に利用率を1951年並の 2.4%にすると、2011年度の利用者数は 304万8000人になります。

年度
人口  生活保護利用者 
 利用率 
2011年度
1億 2700万人   205万人
   1.6%
1951年度
   8457万人   204万6000人
 2.4%

Q2 それでも生活保護の利用率は高いのではないですか?

A2 日本の生活保護利用率は、先進諸外国とくらべると極めて低い数字にとどまっています。 むしろ、数百万人が保護から漏れています。

 日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。
 しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。仮に日本の捕捉率を ドイツ並みに引き上げると、利用者は 717 万人になります。
 2012 年に入ってから全国で起きている「 餓死 」「 孤立死 」事件発生の背景には、生活保護の利用率・捕捉率の低さが影響していると考えられます。

利用率・捕捉率の比較(2010 年)
国名 人口 生活保護利用者数 利用率

 捕捉率
日 本   1億2700万人  199万8957人 1.6%
   15.3〜18% 

ドイ ツ    8177万人   793万5000人  9.7%
   64.6%
フランス   6503万     372万人     5.7%  
    91.6%
イギリス   6200万     574万4640人  9.27%
    47〜90%
スウェーデン 941万5570人 42万2320人  4.5%
    82%
(【 あけび書房】「生活保護『改革』ここが焦点だ!」(生活保護問題対策全国会議【編】)より )


Q3 不正受給が年々増えていると聞きますが?

A3 不正受給の割合は保護費全体の 0.4%程度で大きな変化はありません。 しかも、その中には、悪質とはいえないケースも含まれています。

 不正受給の件数や金額が年々増え、不正受給が横行しているかのような報道がされています。しかし、不正受給の件数などが増えているというよりも、生活保護利用者が増えていることに伴う数字の変化というべきでしょう。 不正受給の割合でみると、件数ベースで 2%程度、金額ベースで 0.4%程度で推移しており、大きな変化はありません。また「不正受給 」とされている事例の中には、高校生の子どものアルバイト料を申告する必要がないと思っていたなど、不正受給とすることに疑問のあるケースも含まれています。
 もちろん、悪質な不正受給に対しては厳しく対応すべきですが、そういうケースはごくわずかな例外です。 数字を冷静にみれば、数百万人の人が生活保護受給から漏れていること(Q2)の方が大きな問題なのです。

不正受給件数、額の変化
年 度 生活保護利用世帯数
 生活保護費総額 不正受給件数(全体に占める率) 不正受給額(全体に占める率)

H 19 154万3321人 2兆6175億円
 15,979(1.44%)  91億8299万円(0.35%)
  
H 20 159万2629人 2兆7006億円
 18,623(1.62%)  106億1798 万円(0.39%)
  
H 21 176万3572人 3兆0072億円
 19,726(1.54%)  102億1470万円 (0.34%)
 
H 22 195万2063人 3兆3296億円
 25,355(1.80%)  128億7425万円 (0.38%)  
( H 24.3 厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料より )

Q4 お金持ちの家族が生活保護を受けているのは「不正受給」ではないのですか。家族が扶養できるかどうかは徹底して調べるべきでは?

A4 「不正受給」ではありません。また、徹底調査が行きすぎると、本当に生活保護を必要とする人が利用できなくなってしまいます。

 最近、芸能人の家族が生活保護を受けていることが話題になりましたが、これは、そもそも不正受給ではありません。生活保護法は、扶養義務者が適正な仕送りをすることを、保護適用の前提条件とはしていないからです。民法上も、強い扶養義務(生活保持義務 )を負うのは、夫婦同士と未成熟子に対する親だけで、成人した親子や兄弟姉妹は、「社会的地位にふさわしい生活をしたうえでなお余裕があれば援助する義務 」(生活扶助義務 )を負うにとどまります。そして、どの程度の扶養をすべきかは、まずは当事者間の話 し合いで決め、話し合いがつかない場合には家庭裁判所が色々な事情を考慮して決めることになっています。家族の関係は様々で、愛憎相半ばするデリケートな問題を含むことも少なくなく、 一刀両断に判断できるものではないからです 。したがって、家族の一部にお金持ちがいたとしても、その人が扶養しないのはおかしいとはいい切れません。
 また、現在でも、役所から家族に連絡を取られたり、迷惑を掛けたりするのは避けたいと生活保護の申請をためらう人がたくさんいます。生活に困窮している人は、その家族も困窮していたり、DVや虐待など 家族関係にいろいろなトラブルを抱えていることが多いからです。家族が扶養できるかを徹底して調べるということになれば、より多くの人が生活保護の利用をためらうようになるでしょう。 徹底調査は、生活保護の利用のハードルを上げ、今以上に利用しにくい制度にしてしまうのです。これでは保護から漏れる人がもっと増えてしまいます。


Q5 働けるのに働かないで生活保護を受けている人が増えていると聞きますが?

A5 そうとはいえません。働いても生活費が足りない人、そもそも働 けない人の利用も増えています。仕事がない人もいます。

Q 「その他の世帯」の世帯員の年齢階級別分布
  〜 19歳   18%
20 〜 29歳    5%
30 〜 39歳    8%
40 〜 49歳    14%
50 〜 59歳    24%
60 〜 69歳    22%
70歳〜       9%
( H 23.4 厚生労働省第1回社会保障審議会生活保護基準部会資料より )


Q6 生活保護基準が最低賃金や年金より高いのはおかしくないですか?

A6 生活保護基準が最低賃金や年金より低すぎることが問題です。

  「生活保護基準が最低賃金や年金より高いのはおかしい。基準を引き下げるべき」という議論がなされることがあります。しかし、生活保護基準は、生存権の内容である「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するために必要な額はいくらかという観点から、1円単位の積み上げで綿密に計算されています。
 最低賃金や年金が生活保護基準を下回り、生存権が守られていないことの方が問題です。生活保護費が「 高すぎる 」のではなく、最低賃金や年金が「 低すぎる 」のです。
 この問題は、生活保護基準の引下げではなく、最低賃金、年金額などを生存権が維持できるレベルまできちんと引き上げるかたちで解決されなければなりま
せん。


Q7 生活保護基準が引き下げられても、非利用者には関係ないのでは?

A7 いろいろな制度に影響します。あなたも影響を受けるかもしれません。

 生活保護基準は、非課税限度額など様々な低所得者対策制度と連動 しています。
 基準の引下げは利用者だけの問題ではありません。生活保護を利用していなくも、基準の引下げに伴い、個人負担が増加したり、今まで受けられていたサービスが受けられなくなるおそれがあります。
 生活保護基準は、生活保護利用者だけでなく、多くの国民の問題なのです。

【 生活保護基準引下げの影響 】
@ 住民税の非課税限度額が下がり、今まで無税だった人が課税される。
A 非課税だと安くすんでいた負担が増える。
 ・介護保険料、医療費上限、保育料、一部自治体の国民健康保険料など
B 保護基準に基づいて利用条件を設定している施策が利用できなくなる。
(全国)介護保険利用料・保険料の減額、障害者自立支援利用料の減額、生
  活福祉資金の貸付、就学援助給付
(一部自治体)地方税の減免、地方税滞納処分の禁止、国民健康保険料の減免、国民保健医療費負担の減免、公立高校授業料減免、公営住宅家賃減免、自治体の公的貸付


Q8 財政破綻を防ぐには生活保護を減らせばいいのではないですか?

A8 誤解です。

 日本では生活保護予算が国や地方の財政を圧迫していて、これを引き下げないと財政が破綻するかのようにいわれることがあります。
 しかし、日本の生活保護費(社会扶助費)のGDP における割合は0.5%。
 OECD 加盟国平均の1/7にすぎません。諸外国に比べて、極端に低いのです。
 生活保護費が財政を圧迫しているとはいえませんし、生活保護費を引き下げても、財政への影響は小さいのです。
 そもそも、生活保護費は国民のいのちを守るための支出です。財政問題を理由に安易に引下げを論じるべきではありません。

各国の社会扶助費のGDPに占める割合比較 (1995年)ニュージーランド 10.4%
フランス       3.9%
ドイツ         3.4%
イギリス       2.8%
アメリカ        0.8%

日 本        0.5 %
ギリシア       0.4%
OECD平均     3.5%
( 世界銀行 Survey of Social Assistance in OECD Countriesより)

 このように日本では、生活保護が権利であるにもかかわらず、十分に利用されていません。それどころか、誤った情報に基づく、生活保護に対するバッシングが後を絶ちません。
 生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営むための最後のセーフティネットです。 みんなが安心して暮らすためには、この最後のセーフティネットがいつでも安心して使えることが重要です。誤った情報に惑わされないでください。
 正確な知識を得て、困ったときには、積極的に生活保護を利用しましょう。

JFBA : Japan Federation of Bar Associations 略称:日弁連


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
公的セィフティネットの議論と,生活保護法の問題点 【3】 銅のはしご/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる