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<<   作成日時 : 2014/01/16 15:37   >>

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 昔話を読むと,世界の交通・交易はどれほど古くから,また広範囲にわたっていたのだろうかと想像する。
 『古事記』の成立は,712年とされている。これが口承で,あるいは書物として世界に伝えられたのはいつ,どうやってだったのだろうか。
 世界の昔話,特にヨーロッパの口承の民話と,『古事記 』とで,そのモチィフやディテイルによく似た部分を見つけると,想像は果てしない。

 『世界昔ばなし 上 ヨーロッパ 日本民話の会 編 訳』を久しぶりに通読 してみた。
 剣持弘子氏と樋口淳氏によるあとがき( p.380〜385)の中には
 「昔話は、いまでこそ子供たちの独壇場ですが、すこし前まではむしろ大人たちのものでした。」とある。
 口承の民話をそのまま活字にするという作業からできた本で,今は電子書籍では,読めるようだ。高校の授業中,ベンキョーがしたくなかったりすると,文庫本やらをコッソリ読んだりした。今時の高校生では,スマホやタブレットでコッソリというのは,できないんだろうなあと,思う。

 同書の冒頭,木下順二氏による「『世界昔ばなし』によせて」という一文には,
 「日本の民話と世界の民話に非常に似たものがあり、しかし何故そうであるのかの理由は、未だ解明されていない。最も典型的なのは、日本の「味噌買い橋」とイギリスの「スウォファムの行商人」の相似性だが、今度の刊行は、そういう問題を考える手がかりも与えてくれるに違いない。」

 さて,次の一節。フランスの民話は20世紀初頭に採話されているものだが,それだけを見て日本の話がもとになっていると考えていいのかどうかは判らない。


 「フロリーヌが顔を洗うと,頬から麩(ふすま)が こぼれ,髪を梳かす髪の毛のあいだから小麦がこぼれおち」

 「イザナギは櫛や髪飾りを 葡萄や竹の子に変えて投げ」

◇ 上記部分の引用

フランス「ドラックと美しいフロリーヌ」
p.278 5行目〜
  毎日、フロリーヌは浜辺へいってはお化粧をした。顔を洗うと、ほおからふすまがこぼれおち、髪をとかすと髪の毛のあいだから小麦がこぼれおちた。
 このあたりに住む王さまが、たくさんの豚を飼っていて、その豚が、フロリーヌの頭から落ちるふすまや小麦をみんな食べるようになった。夕方になってもどった豚が、なにも餌を食べようとしないので、豚番の召し使いは、そのことを報告した。
解説p.371〜372♠ ドラックと美しいフロリーヌ
AT403「白い嫁・黒い嫁」)
 ガスコーニュ地方で一九〇八年に、アントナン・ペルボスクがマチルド・エイブラール夫人から聞いた話です。ペルボスクは、ランドックの詩人です。フランス南西部モントーバン近郊の小さな村で小学校の先生をしながら、たくさんの昔話を記録しました。
 この話に登場するドラックというのは、時には馬、羊、猫などにも姿を変えて現れる超自然の生きもので、人食いをさすこともあり、ガスコーニュ地方の話によく登場します。
 「すりかえられた婚約者(または花嫁)」のエピソードは、ずいぶん古くからの文献にもみられます。フランス中世の文学では、シャルルマーニュ王の母と伝えられる「大足のベルト」の物語が有名ですが、さらに古くは、インドの説話集 『カター・サリット・サーガラ』にも入っています。
出典 Antonin Perbosc ,“ Contes de Gascogne ” ,1954 
世界昔ばなし 上 ヨーロッパ
日本民話の会 編 訳 講談社文庫 1991年12月15日第1刷


古事記 上巻
 イザナキ、亡き妻イザナミを地底に訪ねる――黄泉の国訪問 p.38後ろから2行目〜p.40
 そこで、左の角髪に差していた神聖な爪櫛の端の太い歯を一本折り取り、それに一つ火(ひとつび)を灯して御殿の内に入ってみた。
 そこに見たものは、無数の蛆(うじ)がワンワンたかっているイザナミの腐乱死体だった。頭には大雷、胸には火の雷、腹には黒雷、陰部には裂く雷、左の手には若雷、右の手には土雷、左の足には鳴る雷、右の足には伏す雷と、八種の魔物が生まれていた。
 このおぞましい光景を見たイザナキは、恐れおののいて黄泉から逃れようとした。ところがイザナミは、「よくも私に恥をかかせましたね」と責めて、ただちに黄泉の魔女たちに命じてイザナキを追跡させた。
 迫りくる魔女たちに向かって、イザナキが黒い鬘(かずら)を投げつけると、たちまち山葡萄の実に変わった。魔女たちが実を拾って食べる間にイザナキは逃げたが、なおも追いかけてきた。こんどは、右の角髪(みずら)に差した神聖な爪櫛(つまぐし)の歯を折り取って投げつけると、たちまち竹の子になって生えた。これを魔女たちが引き抜いて食べる間に、イザナキはさらに逃げのびた。
 あせったイザナミは、魔女たちと交替に、自分の体に生まれた八種の魔物を長にした黄泉の魔軍を編成して、イザナキを追撃させた。イザナキは腰に帯びた長剣を抜き、それを後ろ手に振り回し、魔力を断ち切りながら逃走を続けた。
 魔軍はなおも追ってきたが、この国と黄泉との境である黄泉つ比良坂(よもつひらさか)の麓まで来たとき、イザナキはそこに生っていた桃の実を三つ投げつけた。すると、桃の霊力にはばまれた魔軍は退却していった。
 イザナキは魔軍を追い払った桃の実に、「私を助けたように、この国の国民を苦悩から救ってもらいたい」と頼んで、偉大 な霊力を持つ意をこめたオオカムズミという称号を授けた。
角川 ソフィア文庫 『 古事記 』
角川書店=編 ビギナーズ・クラシックス
平成十五年(2003年)一月十日再版


◇ 参考

AT番号
アアルネ・トンプソンのタイプ・インデックス

アンティ・アアルネ Antti Amatus Aar ne
フィンランド 民俗学者
1867年12月5日―1925年2月2日
(慶応3年頃―大正15年)

スティス・トンプソン Stith Thompson
アメリカ 民話学者
1885年3月7日―1976年1月13日
(明治18年―昭和51年)

解説 『古事記』――関係者と作品紹介
p.275〜284  p.278より
 『古事記』の序文によると、『古事記』成立の年次は和銅五(七一二)年、女帝元明天皇(六六一〜七二一)。第四十三代天皇。在位七〇七〜七一五)の勅命によって編纂(へんさん)された。


画像

左から
世界昔ばなし 下 アジア・アフリカ・アメリカ
日本民話の会 編 訳

講談社文庫 1991年12月15日 第1刷
買った時 定価 560円(本体544円+税3% 16円)
世界昔ばなし 上 ヨーロッパ
日本民話の会 編 訳

講談社文庫 1991年12月15日 第1刷
買った時 定価 580円(本体563円+税3% 17円)
角川ソフィア文庫 『 古事記 』
角川書店=編 ビギナーズ・クラシックス
平成十五年(2003年)一月十日 再版発行
(初版は2002年8月25日)
買った時 定価 660円(本体629円+税5% 31円)

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