銅のはしご

アクセスカウンタ

zoom RSS 「有識者会議」北岡座長代理は法解釈の専門家ではない/解釈改憲で「集団的自衛権」行使【5】

<<   作成日時 : 2013/08/17 19:46   >>

トラックバック 0 / コメント 0

解釈改憲で「集団的自衛権」行使【4】 

元内閣法制局長官 阪田雅裕氏
 憲法9条があってもなくても,国際法上の原則として,戦争はできない。
 平和主義は日本国憲法に特殊なことではない。

 歴代内閣の憲法解釈は間違っていない。
 ずっと議論が積み重ねられ,言わば風雪にも耐えてきた重みのある中身が歴代政府の憲法解釈だ。



憲法学者 木村草太氏
 「有識者会議」は,残念ながら,法解釈の方面にお強い方は,いらっしゃらない。
 北岡座長代理は政治外交史の専門家としては日本トップクラスの先生だが,やはり,法解釈の専門家ではない。

 岸信介首相も,採っていた解釈だということを,あなたは知っているのですか?と,安倍政権の側には問いたい。

 国際法にもっと興味を持って頂くと,この問題がもっと深く分かると思う。



森肇志(もり・ただし)著
 『自衛権の基層 −国連憲章に至る歴史的展開』


 2006年9月まで第2次と第3次小泉内閣で内閣法制局長官を務め,現在は弁護士の阪田雅裕氏が電話ゲストとして登場。

✎    ✎    ✎    ✎    ✎    ✎

荻上チキ
 最近の,集団的自衛権をめぐる解釈改憲の安倍政権の動きについては,どう見ていますか。

阪田雅裕
 木村先生大変詳しく御説明を頂いたので私が申し上げることはほとんどない。日本が集団的自衛権を行使できるようになるのが,必要なことかどうか,良いことかどうか。
 これは,まったく判断はできないが,憲法9条の解釈を変えて,これができるようになるというのは,非常に問題がある。

 内閣法制局は,内閣機関だから,内閣が目指している政策の実現のために最大限の努力をするのは当然のことだが,それは飽くまでも憲法の枠内でということ。

 これは,法律論であって,政策論あるいは外交上必要だからというような問題ではない。
 法律論として,憲法9条の解釈が,間違っているのか,おかしいのか,ということが問題になる。
 それに対して,今までの解釈が間違っていたとは,とても思えない。

 何よりも,その解釈改憲が非常に問題だと思うのは,今,国際法上,戦争は原則として違法なんです。許されている戦争は,集団的自衛権の行使,国連決議に基づく多国籍軍への参加という,その2つしかない。
 これができるということは,どういうことかと考えてもらいたい。

 これは,憲法9条があってもなくても,同じだ。
 憲法には98条第2項があり,日本も,国際法はしっかり守らなくてはいけない。

◇ 途中で参考 ルビは(カッコ)の中に表記

日本国憲法 第十章 最高法規 
第九十八条【憲法の最高法規性、条約及び国際法規の遵守(じゅんしゅ)】

 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅(しょうちょく)及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
 A 日本国が締結(ていけつ)した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守(じゅんしゅ)することを必要とする。

第九十九条【憲法尊重擁護(ようご)の義務】
 天皇又は摂政(せっしょう)及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護(ようご)する義務を負ふ。



 そうすると,9条がなくても,そういう集団的自衛権の行使でもない,多国籍軍への参加でもない,違法な戦争はできない。
 それは,アメリカだってイギリスだって,皆一緒だ。
 そうすると,日本の憲法が平和主義だと言っていたのは,いったい何だったのかということになる。
 だから,憲法を改正すると言う前に,解釈によって9条の中身がなくなってしまう,9条はセミの抜け殻みたいになってしまうということが,非常に問題だと思う。

荻上チキ
 阪田さんが法制局長官をしていた当時,小泉内閣の官房長官・安倍さんからは,憲法を見直したいと言う具体的なアクションなどはあったのでしょうか。

阪田雅裕
 ございません。

荻上チキ
 安倍さんは,総理になって改めてそういう動きがあるということですね。
 TBSのインタビューに応じた有識者会議の座長代理・北岡伸一氏は「歴代内閣の憲法解釈が間違っている」と指摘しているが,この意見は,どうですか。

阪田雅裕
 間違っていないと思う。
 法律論として,どのように間違っていたのかと,具体的に指摘をしてもらいたい。
 先ほどの視聴者の方も,憲法解釈が曖昧だとか揺らいでいるだとかという説を言うが,少なくとも昭和29年に自衛隊ができてから,60年近く政府は,ずっと同じことを言い続けてきた。自衛隊を合憲だと言い続けてきた。
 自衛隊は合憲だが,それは,外国からの攻撃を受けて国民の生命・財産あるいは国家の存立が脅かされる事態になり,それを阻止するために自国民を守るために必要最小限度の実力が必要だから,自衛隊の存在は許されるのだと申し上げて来た。
 逆に言えば,自衛隊はそういう存在でしかないので,海外に出かけて行って,たとえばイラク,アフガニスタン,ヴェトナムなどで,戦争をするということは,憲法は禁止をしている。
 その2つしか申し上げて来なかった。
 非常にシンプルだし,一貫している。

荻上チキ
 「間違っている」の根拠をより説得的に訴えてこられない限りは,難しいだろう,と。

阪田雅裕氏 
 そうです,はい。これは,法律論なので。
 政策論であれば,過去,間違っていたということは幾らでも簡単に変えられると思うが,法治国家だから簡単には(変えられないはずだ)。

荻上チキ
 政策論と法律論が,ゴッチャになって,そうした議論が進んでるんじゃないかと懸念がおありだということですか。

阪田雅裕
 そうですね。
 法律論として,おかしい。
 私も色んな所で9条などの話しをするが,あまり聞かない。
 やっぱり,今の9条の理解の仕方が,9条はそういうものだと,ある程度国民の間にも定着をしていると思う。
 もし,それが違うと言うなら,それはやっぱり憲法改正する。
 日本がもっと国際貢献ができるようになることが必要,あるいは海外でも戦闘ができることが必要ということであれば,それは,憲法9条改正するということだろう。
 議論の積み重ねのある,重い中身のあることだろうと思うので,国民の覚悟というのも,改めて問う必要があるだろうと思う。

荻上チキ
 そもそも無理があるし,それは改憲をしない限り,認めにくいと。逆に言えば,憲法の軽視にも繋がり得るから,恐ろしい,危険だという面もある。

阪田雅裕
 憲法の軽視というか,憲法議論というのは,過去,憲法ができてから,ほとんどこの9条に集中している。政府の憲法9条の理解を前提にして,この場合はどうか,あの場合はどうか,ずうっと議論が積み重ねられ,言わば風雪にも耐えてきた重みのある中身が(今まで歴代の)政府解釈だ。

荻上チキ
 最後に,阪田さん,集団的自衛権行使には阪田さん自身は反対のお立場ということか?

阪田雅裕
 いえ,それは私は,賛成とか反対とか言う立場にはない。行使ができるようになる必要があると言うなら,堂々と国民に訴えて,賛成をしてもらうというのが政治の王道だろうと思う。

荻上チキ
 改憲案を発議すべきということが,本来であれば,議論の筋だと。

阪田雅裕
 はい。改正手続きがあるわけですから。しかも9条に関して言えば,最も重要な事項と言うか。要するに中身そのものを変えるということですから。

荻上チキ
 阪田さん,有り難うございました。

南部広美
 どうも有り難うございました。

阪田雅裕
 はい。有り難うございました。失礼します。

✎    ✎    ✎    ✎    ✎    ✎

荻上チキ
 今,阪田さんからもお話しがあったが,今までの解釈が間違ってるんだというなら,それに対する法解釈上の,法的な議論でちゃんと解答を出せ,と。
 もちろんこの有識者会議だけじゃなくて,政府に対しても問われていると。

木村草太
 もちろんです。有識者会議は,残念ながら,この方面にお強い方は,いらっしゃらない。
 北岡座長代理は政治外交史の専門家で,その面では日本トップクラスの先生だが,やはり一方で,法解釈の専門家ではない。
 だから,もっと強力な法解釈の専門家を沢山入れないと,説得力のある解釈論はできない。
 内閣法制局ばかりが槍玉に上げられるが,そもそも集団的自衛権を持っていないとは,岸信介首相が国会で答弁した内容でもある。
 それは,法制局という枠を超えて歴代政府が採ってきた解釈であると。
 もう一度言うが,岸信介首相も,採っていた解釈だということを,あなたは知っているのですか?と,(安倍)政権の側には問いたい。

荻上チキ
 文字通り,身内に文句は言わないのか?ということになる。

木村草太
 (笑)そういうことですね。

荻上チキ
 そりゃそうだな。今すっごいスッと,そりゃそうだな,その点について,どう考えているのか。

木村草太
 (笑)

荻上チキ
 これは今度は,記者の仕事になるわけですよね。質問でぶつけるという。

木村草太
 そうですね。そしてぜひ,国民の皆さんは,国際法にもっと興味を持って頂くと,この問題がもっと深く分かると思う。

荻上チキ
 国際法ですか。

木村草太
 はい。憲法だけでなく,国際法を見ないと,9条の下で,何で自衛隊が持てるのかと分からない。
 ですから,ぜひ国際法の本当に簡単な教科書あるし,専門書も良い本沢山あるので,ぜひ読んでもらいたいなと思う。

荻上チキ
 じゃ,せっかくなんで,お勧めの本を1冊教えて下さい。

木村草太
 私の先輩の先生で,東京大学教授の森肇志(もり・ただし)さんが書かれた『自衛権の基層 ―国連憲章に至る歴史的展開』¥ 7,140。東大出版から出ている本。
 国連憲章の起草に至る過程までの,自衛権概念の変遷をずっと追っている,非常に丁寧で,(第42回安達峰一郎記念賞を)受賞もされた非常に優秀な作品。
 優秀な法学者の作品は,一般の人が読んで分かるぐらいに分かりやすく書かれている。概念が明確ですから。
 ちょっとお高いが,興味のある方は読んでもらって,手に取ってもらい,または高かったら,地元の図書館にリクエストしてもらいたいと思う。

荻上チキ
 『自衛権の基層』ですね。
 この質問をするとは,まったく言ってなかったですが,本の名前がスラスラ出てきて,それだけ思い入れがある本なんですね。

木村草太
 そうですね。昔,都立大の私の同僚だった先生で,非常に優秀でおもしろい先生。今日,話すのでちょっと国際法勉強しなおしました。(笑)

荻上チキ
 木村さんも,復習に非常に役立つ本だったと。(笑)すごいな。ぜひ読んでみたいと思います。
 今日は,どうも有り難うございました。

木村草太
 有り難うございました。

南部広美
 木村さん,どうも有り難うございました。

✎    ✎    ✎    ✎    ✎    ✎

◇ 参考

http://www.tbsradio.jp/ss954/2013/08/
TBS RADIO 954kHz
毎週月〜金22時〜24時55分(金曜は23時55分まで)

荻上チキ&南部広美 Session 22  8月14日(水)

『どうなる憲法』シリーズ第3弾
「気鋭の憲法学者木村草太さんと考える「集団的自衛権」・憲法解釈見直しの動き」


スタジオゲスト
首都大学東京准教授 木村草太氏〔憲法学者〕

電話ゲスト
元内閣法制局長官 阪田雅裕

国際法を学ぶために最適なテキスト
森肇志(もり・ただし)著
『自衛権の基層 −国連憲章に至る歴史的展開』 ¥ 7,140


◇ 今日気になったニュース(国内)

 釜石市にSHIBUYA 109 が出店して  画像
中高校生は少しだけ楽しい夏休みに
なったようだ。最終日18日には
ファッションショーも。
 でも,国際リニアコライダーの
候補地になっても,誘致そのものが
判断されないかもしれないようだ。
建設費10年間で約8300億円,
研究者・技術者1,000人程度の確保が難しいと
日本学術会議の検討委員会は言い訳をしている。



Kol net 河北新報社 2013年08月17日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/08/20130817t33018.htm
「釜石109」待望の開店 人気ブランド、女子中高生ら列

岩手日報 WebNews  2013/08/17
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130817_9
ILC候補地23日公表 研究者・評価会議

 安倍首相は,きのう16日(金)にはフジテレビ会長やなんかとゴルフあ〜んどバーべキューだって。

朝日新聞 DEGITAL  2013年8月16日22時5分
http://www.asahi.com/politics/update/0816/TKY201308160277.html
首相動静―8月16日

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「有識者会議」北岡座長代理は法解釈の専門家ではない/解釈改憲で「集団的自衛権」行使【5】 銅のはしご/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる